2009 Fiscal Year Annual Research Report
ホタテガイ貝殻に含まれる脂肪分解促進因子の構造、機能解明
Project/Area Number |
20580218
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 靖 Muroran Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 教授 (80261387)
|
Keywords | 水産系廃棄物 / ホタテガイ貝殻 / 健康食品 / 脂肪分解 |
Research Abstract |
水産産系廃棄物であるホタテガイ貝殻の新規有効利用法の開発を目指し、貝殻中に含まれる有機成分が示す生理活性作用について研究を進めてきた。特に、貝殻粉末をラットに食餌させることによって生じる白色脂肪組織重量の減少がどのような機構によっておこるのかを明らかにしようとしている。 本研究では以下の内容について明らかにしてきた。 貝殻有機成分中に脂肪細胞への分化を抑制する因子を見出した。 ・貝殻中に含まれる脂肪細胞への分化抑制活性は、貝殻有機成分のプロナーゼ処理によって失われなかったこと、糖やタンパク質に結合した糖鎖を分解するトリフルオロメタンスルフォン酸処理によってその活性が失われたことから活性が糖鎖によるものであることが明らかになった。 ・貝殻有機成分中に脂肪細胞への分化を抑制する因子を見出し、その成分の単離、同定を行った。 ・この成分が糖鎖を結合した糖タンパク質であることを明らかにした。 ・このタンパク質は分子量約1万7000のタンパク質であり、糖鎖がヘテロに結合していることが示唆された。 ・抗体を用いた組織染色の結果、このタンパク質が炭酸カルシウム結晶の層にはさまれる形で分布していること、さらにこのタンパク質はしじみ、ほっきなどの貝殻には含まれていないことを明らかにした。 ・このタンパク質はin vitroにおいて炭酸カルシウムの結晶形成を阻害することを明らかにした。 ・このタンパク質のN末端はブロックされており、アミノ酸組成はアスパラギン酸、セリン、グリシン残基の豊富なタンパク質であることがわかった。 ・胃や腸に含まれるプロテアーゼで処理することによっても分解されにくいタンパク質が貝殻中に含まれていることを明らかにした。このタンパク質が食物繊維のようにはたらき、脂肪を生体内に吸収されにくくしているものと推測された。
|
Research Products
(3 results)