2008 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーサーモンに学ぶ食欲と成長の分子機構解明とその普通魚可食部増大への利用
Project/Area Number |
20580219
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 俊樹 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 助教 (10217797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (40206280)
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Keywords | 農林水産物 / 水産学 / 栄養学 / 組換え食品 / バイオテクノロジー / 生理学 |
Research Abstract |
(1)成長ホルモン(GH)遺伝子組換えスーパーサーモンの作出 : デブリン(1994)に倣って、サケ由来のメタロチオネイン-B-プロモーターにサケGH遺伝子を融合した発現ベクターOnMTGHlをギンザケ卵にマイクロインジェクション法で導入し、組換え魚を作出した。その後カナダ国立ウエストバンクーバー研究所内の隔離飼育施設で飼育した。(2)成長関連因子の発現動態 : (2-1)血漿GHおよびインシュリン様成長因子(IGF)-Iの動態 : 体重約20gに成長した組換えギンザケ当歳魚と非組換え野生魚を用い、飼料を投与後経時的にサンプリングした。血漿中のGHおよびインシュリン様成長因子(IGF)-Iのレベルは、ほぼ全てのサンプリング時間を通じ非組換え魚に比べ組換え魚において高く推移した。(2-2)成長関連遺伝子の発現状態 : 組換え魚では脳下垂体以外の様々な組織でGH遺伝子が発現していると考えられる。今回は発現レベルが高い組織の一つと思われる肝臓を用い、GH、IGF-IおよびGH受容体(GHR)のmRNAの発現についてリアルタイムPCRにより検討した。その結果非組換え魚ではGH遺伝子が全く検出できず、組換え魚においてのみその発現が確認された。そしてその値は飼料投与後に上昇し、24時間後には低いレベルに戻った。またIGF-IおよびGHR遺伝子は飼料投与後に上昇する傾向にあった。しかし何れの数値も個体差が大きかった。 以上のように組換え魚における著しい成長促進は、非組換え魚に比べGHおよびIGF-Iのレベルが高く保たれていることが影響していると推察される。今後は検体数を増やし個体差を抑えること、さらに肝臓以外の組織の関連遺伝子の発現動態の解析が必要であろう。
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Research Products
(9 results)