2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドコサヘキサエン酸代謝体の虚血性脳・眼疾患における栄養機能と展開
Project/Area Number |
20580222
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
西川 正純 宮城大学, 食産業学部, 教授 (90404839)
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Keywords | 脂質 / 水産化学 / 生理活性 / 栄養学 |
Research Abstract |
海産由来の重要な食品成分でありヒト脳内主要高度不飽和脂肪酸でもあるn-3系ドコサヘキサエン酸(DHA)は、生体内では細胞膜リン脂質に存在し膜機能の調節に重要な役割を果たしているが、虚血性脳(眼)疾患などの中枢神経疾患発症時には、速やかにリン脂質より切り出されて遊離の脂肪酸或いは様々な代謝体となり、新たな生理活性を発現すると考えられている。そこで本研究では、n-3系のDHAとその代謝体について、グルタミン酸をはじめとする各種神経伝達物質の受容体応答に対する影響を確認することによって、DHA並びにその代謝体の栄養学的な意義と応用について貢献するものである。 本年度は、遊離の脂肪酸としてDHAの脳虚血による空間認知障害に対する影響について、ラット病態モデルを用いて8方向放射状迷路の評価系を適用し検討した。先ず、DHAの慢性経口投与により空間認知に影響及ぼすか検討したが、30日間のDHA(40mg/kg)投与群と非投与のコントロール群に差異は認められなかった。続いて、10分間の脳虚血を処置したラットに対して、脳虚血後24時間、48時間、72時間、96時間の空間認知障害に対する影響を検討した。その結果、DHA投与群は、正選択数、誤選択数ともコントロール群に比べ改善する傾向が認められ、特に24時間後では統計学的に有意に改善した。この効果は、中大動脈梗塞モデル(MCA)試験においても同様であった。以上より、中枢神経系疾患、特に脳梗塞の予防・予後において、昨年度の神経細胞保護作用と考え合わせて、DHA等の高度不飽和脂肪酸の栄養学的な意義の一端が明らかとなったと考えられた。今後、メカニズム等の詳細な解明が進むことを期待する。
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Research Products
(8 results)