2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼによる二枚貝類コラーゲンの特異な分解挙動の解析と機構解明
Project/Area Number |
20580223
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水田 尚志 Fukui Prefectural University, 生物資源学部, 准教授 (30254246)
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Keywords | コラーゲン / 二枚貝 / ホタテガイ / サブユニット / 塩酸グアニジン / ペプシン |
Research Abstract |
無脊椎動物のコラーゲンは一般に難溶性であるため、コラーゲンを可溶化させるにはペプシンに代表されるプロテアーゼを用いて限定分解する必要がある。多くの二枚貝類についてコラーゲンをペプシン処理に供すると、特定のα鎖の相対的減少が起こるなど、顕著な電気泳動パターンの変化を生じる。つまり、当該α成分においてプロテアーゼ感受性の領域が存在する可能性があるが、本現象に関する知見はほとんどない。本研究は、ペプシン処理による構造変化の機構を解明するための基礎的情報の集積を目的として、プロテアーゼ処理を加えていないインタクトなコラーゲンを構成するα鎖の単離を試みた。 ホタテガイ外套膜より既報の方法に従って、生来の一次構造を保持したコラーゲン(塩酸グアニジン可溶性コラーゲン、GSC)を得た。SDS-PAGE上では、GSCを構成するαサブユニットとして3種類(a、bおよびc鎖)が認められた。今回これらαサブユニットの分離・精製を目的として3通りのpH条件(pH4.8、6.8、8.8)を設定し、これらにおけるホスホセルロースカラムクロマトグラフィーを行った。その結果、pH8.8ではb鎖のみが、pH6.8ではbおよびc鎖がカラムに吸着し、pH4.8では3種類すべてが吸着するなど、それぞれの鎖が異なる吸着特性を示した。また、pH6.8およびpH4.8においてカラムに吸着した各鎖は、NaClを用いた直線グラジエントによる溶出を行った場合、互いに異なる溶出位置を示した。これらの結果は、異なるpH条件のクロマトグラフィーを組み合わせることで各鎖の相互分離が可能であることを示すものである。
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