2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロテアーゼによる二枚貝類コラーゲンの特異な分解挙動の解析と機構解明
Project/Area Number |
20580223
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
水田 尚志 Fukui Prefectural University, 海洋生物資源学部, 准教授 (30254246)
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Keywords | コラーゲン / 二枚具 / ホタテガ / サブユニット / 塩酸グアニジン / ペプシン |
Research Abstract |
無脊椎動物のコラーゲンは一般に難溶性であるため、コラーゲンを可溶化させるにはペブシンに代表されるプロテアーゼを用いて限定分解する必要がある。多くの二枚貝類についてコラーゲンをペプシン処理に供すると、特定のα鎖の相対的減少が起こるなど、顕著な電気泳動パターンの変化を生じる。つまり、当該α成分においてプロテアーゼ感受性の領域が存在する可能性があるが、本現象に関する知見はほとんどない。本研究は、ペプシン処理による構造変化の機構を解明するための基礎的情報の集積を目的としてプロテアーゼ処理を加えていないインタクトなコラーゲンを構成するα鎖の単離を試みた。 ホタテガイ外套膜より既報の方法に従って、生来の一次構造を保持したコラーゲン(塩酸グアニジン可溶性コラーゲン、GSC)を得た。SDS-PAGE上では、GSCを構成するα成分として昨年報告した3種類(a、bおよびc鎖)の他、c鎖よりわずかに移動度の小さい新成分(d鎖)の存在が判明し、インタクトなコラーゲンを構成するα成分として少なくとも4種類が存在することが明らかとなった。昨年度の結果に基づいて複数のpH条件下におけるホスホセルロースカラムクロマトグラフィーを行うことにより、a鎖およびb鎖の精製に初めて成功した。また、c鎖およびd鎖については同カラムクロマトグラフィーにおける溶出挙動が極めて類似していたため相互分離には至らず、両者を含む混合物として回収された。これらの単離α成分または混合物(c鎖およびd鎖)についてアミノ酸組成分析を行った結果、いずれもコラーゲンに特徴的な組成を示し、またa鎖およびb鎖は互いに遺伝的に異なるα成分であることが示唆された。
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