2009 Fiscal Year Annual Research Report
ポジティブリスト制導入が中国産農産物を中心とした食品産業へ与えた影響の評価
Project/Area Number |
20580231
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
栗原 伸一 Chiba University, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (80292671)
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Keywords | ポジティブリスト / 食品安全性 / 中国産農産物 |
Research Abstract |
研究2年目となる本年度は、農業者に対する意識調査を実施した。具体的には、全国の電話帳に掲載されている事業主から無作為に抽出した2,000件の農家を対象に、2009年10月に郵送法で実施したところ、28%にあたる553件から回収された。そのなかから欠損値を含む回答を除いた338件を分析に用いた。使用した調査票は、作目や出荷先など経営内容に関する質問群とポジティブリスト制度に対する知識や対応に関する質問群の2部門で構成されている。このデータを記述的・計量的に分析した結果、以下のような知見が得られた。 ア.農家によって差はあるものの、自治体や関連団体が開催する研修会などによって、新制度に対する認知度は全般的に高い。 イ.国産食品への適用に対する反対は少なく、むしろ付加価値に繋がることを期待している。 ウ.営農に対する負荷は、周辺が野菜・果樹農場の場合や経営主が高齢の場合に大きい。 エ.施行を機に何らかの対応を講じた農家は、(対応策ごとに)3分の1に上る。 オ.対応した農家特性について決定木を使って分析したところ、路地野菜農場に近接していたり、営農期間が長い傾向にあった。 以上、総じて、わが国の農家は新制度を冷静に受け止めていることが分かった。また農薬使用の基準遵守や記録を新制度の施行を機に始めた農家も多く、国産農産物の安全性を更に高める良い機会となったといえる。しかしながら、データの提出を取引先から求められている農家が多いことなども明らかとなり、消費者よりもむしろ流通業者の過剰反応が、農家への負担という観点から懸念される。
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