2009 Fiscal Year Annual Research Report
CSAによる生産者と消費者の連携に関する研究―地産地消の次段階的展開―
Project/Area Number |
20580235
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
波夛野 豪 Mie University, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (30249370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 敏雄 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (20242240)
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Keywords | CSA / 産消提携 / 有機農業 / コミュニティ / 地域連携 |
Research Abstract |
1)CSAと産消提携における主体条件・客体条件の差異 産消提携の成立要件として重要な要素である提携構成主体としての生産者と消費者の関係をCSAの契約関係と比較し、日本的産消関係を明らかにした。さらに、契約書によらない様々な取引方法を調査し、それらの契約書的記述への置き換えの可能性を検討した。 産消提携の理念・機能は、提携の10原則に示されている理念を、提携の実践に読みかえることで具体的になることを発見し、この原則と提携およびCSAの実践方法を比較分析した。この比較のための実態調査のなかで、産消提携は、この原理原則から出発し、現在では、現実に適応して変化していることが確認された。提携原則は、産消双方の対等な関係をうたう一方で、生産者の負担の軽減を目指すものであるが、原則に沿った運営をなお続ける提携が一部に存在するが、消費者負担を軽減する方向に変化している事例が多くみられた。 提携より後発であり、より現実適応が高いと予想されたCSAにおいては、逆に、より提携原則を徹底する形での運営が多く、客観条件的には、CSA以外の有機農産物流通を選択可能な市場環境にあって、こうした負担の大きい購買活動を継続している要因は、主体的条件の差であるという仮定を導出した。 こうした行動の背景には、消費者側の過大な負担を補填するだけの他の要素が存在することも想定できるが、その要素は、また主体の側の動機・目的に潜在している可能性も高い。 提携原則が、産消提携の実践課程においてどのように受容され、変容していったかを分析することによって、なお普及途上にあるCSAと、衰退傾向を続ける日本の産消提携との主体的もしくは客体的条件の差異を明らかにできると考える。 2)CSAの形成条件の一つとしての食品循環資源を利用した農産物の有効性に関しては、生ごみ堆肥化活動を行うNPOが有機農業の実践を組み合わせることによってCSAの要素を備える過程を調査中である。
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Research Products
(7 results)