2011 Fiscal Year Annual Research Report
CSAによる生産者と消費者の連携に関する研究―地産地消の次段階的展開―
Project/Area Number |
20580235
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
波夛野 豪 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (30249370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 敏雄 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (20242240)
小林 富雄 中京学院大学, 中京短期大学部, 准教授 (60592805)
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Keywords | CSA / 産消提携 / 有機農業 / 有機農産物 / コミュニティ / 地域資源循環 / 食品廃棄物堆肥化 / 地域連携 |
Research Abstract |
本研究は、CSAを地産地消の次段階と位置づけ、「資源循環を維持する仕組みとしての有機農業と地域が支える農業の育成装置として展開するCSAの形成・持続条件を明らかにする」ことを目的としている。そのために、下記の二点の解明を主要課題として取り組んだ。 1)CSAと産消提携における主体条件・客体条件の差異 産消提携の理念及び運営方法がどのように受容されたかという視点からCSAを分析することによって、なお普及途上にあるCSAと、衰退傾向を続ける日本の産消提携との主体的もしくは客体的条件の差異を明らかにした。CSAの源流とされるスイスCSA(ACP)の発足当初においては、消費者が協同組合を組織して生産者を雇用する形態が主であり、これは産消提携の原型の一つである「たまごの会」農場と近似している。また、CSAの展開過程における次の形態は生産者と消費者がそれぞれアソシエーションを形成して連携するものであり、産消提携が都市から地方へと展開する段階での形態と一致する。さらに、近年のACPは個人の生産者が複数の消費者と連携する形態が増加しており、これも産消ともに組織化が困難となり団体間提携が崩れつつある現在の産消提携の変容と軌を一にするものである。このことから、今後の産消提携の展望は、ACP同様の個人提携に求められる。すでに個人提携にシフトしている取り組みでは、団体間提携の維持のための模索段階で崩れつつあった提携原則を回復し、産消が一体化した取り組みを目指している。有機農業を取り巻く市場環境は大きく異なるものの、主体条件の一致が確認されたことで、本来の小規模なローカルフードを媒介とするコミュニティ形成の可能性が示されていることが明らかとなった。 2)CSAの形成条件の一つとしての食品循環資源を利用した農産物の有効性 コミュニティ視点からの産消関係の構築においては、食品廃棄物の生産地還流とその堆肥化による有機栽培の実践から得られるリサイクル農産物が地域資源循環産品の証明として受容され、それによる生産者と消費者との関係はより地域コミュニティを意識したものとなっていることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)