2008 Fiscal Year Annual Research Report
キリマンジャロの農家経済経営と農村発展:フェア・トレードの役割
Project/Area Number |
20580237
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
辻村 英之 Kyoto University, 農学研究科, 准教授 (50303251)
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Keywords | 農業経済学 / 農業経営 / 国際農業 / 経済事情 / 国際貢献 |
Research Abstract |
キリマンジャロの小農民は、コーヒー、バナナ、トウモロコシ、芋類、豆類、果物類などの栽培と、牛、やぎ、ニワトリなどの飼養を営んでいる。これらの農畜産物は「男性産物」と「女性産物」に2区分される。両者を分かつのは、特に販売代金の支出費目と経営目標の違いである。 バナナや牛乳をはじめとする「女性産物」については、女性が主体的に販売できる。自家消費(農産物家計仕向→家族)と少額の現金収入のための農畜産物である。その販売代金は、農畜産物や日用品の購入のために、すなわち生活必需品費(純収益→家計費→商品・サービス→家族)として支出される。 つまり最低限の家計水準を維持する家計安全保障が、「女性産物」部門の経営目標となる。 コーヒーやトウモロコシをはじめとする「男性産物」の販売は、多額の現金収入につながる。そしてその販売代金は、農業経営費(純収益→資本→農業経営)と家屋建設費(純収益→財産)に加え、家計費の中の教育・医療費(純収益→家計費→商品・サービス→家族)として支出される。 それらから医療費を除いた費用を、村民は「進歩・開発」のための資金だととらえており、そのため「男性産物」を、開発や利益の追求のための農畜産物だと位置付けている。さらにそれらを差し引いても現金残高がある場合、拡大家族の間の相互扶助システムや、村・教会が主導する社会開発プロジェクトが支出先となる。 つまり開発・利益追求が「男性産物」部門の経営目標となる。
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Research Products
(3 results)