2010 Fiscal Year Annual Research Report
わが国における生鮮果実・果実加工品の海外販路拡大に関する計量的・実証的分析
Project/Area Number |
20580247
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Research Institution | Kyoei University |
Principal Investigator |
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 准教授 (80364876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Keywords | 輪出 / リンゴ / 食味官能試験 / 青森 / コンジョイント分析 / 順序ロジスティック分析 |
Research Abstract |
本研究では、わが国における生鮮果実・果実加工品の海外販路を拡大させることを目標とし、果実・果樹産業の生産・流通・消費・輸出の4つを柱として研究を進めた。そして、海外でのアンケートを中心としたフィールド・リサーチ、海外の統計データを使用した計量的・実証的分析によって、今後における生鮮果実の海外販路拡大の方向性を検討した。まず、北欧フィンランド・ヘルシンキでは、他のEU諸国と同様に、小玉リンゴが消費されているのだが、同地には青森産大玉リンゴ3種(世界一、とき、ふじ)を輸出し、フィンランド人に食味してもらった。その結果、同地の消費者には青森産リンゴの食味評価は極めて良好であった。しかし、青森産大玉リンゴの価格は、同地の最高級有機栽培リンゴの2倍に達するため、食味評価は高いものの、購入には消極的であった。ただし、高所得層は購入すると回答するものも多かった。フィンランドでの調査結果をもとに、イギリス、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーへ青森産ふじとシナノゴールドを輸出し、EU産ジョナゴールド、ピンクレディ、ゴールデンデリシャスとの食味官能試験を実施した。その結果、4か国とも青森産リンゴの評価は極めて良好であり、現地での最高級レベルの5.5EURO前後の価格帯では、多くの回答者が購入するという結果が得られた。ただし、輸出経費や採算性が合う10EUROまでに価格水準を上げた場合、ほとんどの消費者が買わないという結果が得られた。また、今回の調査では大玉リンゴを輸出したが、現地では小玉が一般的であり、日本産果実を輸出する際は、現地の情報や現地の規格に合わせた輸出が極めて重要になるという結果が得られた。加えて、EU産リンゴは青森産リンゴほど、糖度が高く、酸度が低いわけでもないのだが、EU域内国の消費者はEU産リンゴを購買選択する者も少なくなかった。現地の食文化を考えた輸出も考慮する必要があるだろう。
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