2008 Fiscal Year Annual Research Report
EUの水環境規制が加盟国の農業に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
20580249
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
西澤 栄一郎 Hosei University, 経済学部, 教授 (30328900)
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Keywords | 環境政策 / 環境調和型農林水産 / 農業経済学 / 水枠組み指令 / 流域管理 |
Research Abstract |
EU硝酸塩指令(91/676/EEC)の各国での実施状況を明らかにすることを目的とした。今年度は所属学部の執行部の一員に任命され、学内業務が多忙を極めたため、海外調査が不可能となった。このため、加盟各国の状況については、関連文献の収集にとどまった。 従来から研究を進めているオランダに関しては、農地への窒素の過剰な投入を防ぐために導入された糞尿生産権制度と豚・家禽生産権制度について詳しく検討し、環境経済・政策学会にて報告した。この制度は、農業環境政策に排出許可証取引制度を採用した数少ない事例、少なくとも最初の事例であるが、多くの問題を抱えていた。その問題とは、実質的な頭羽数制限だったこと、取引に関する制約が多かったこと、制度の先行きが不透明だったこと、農業者の不満が高かったこと、などであった。このため、この制度の運用による飼養頭羽数の減少はわずかだった。ある政府機関の報告書では、他の施策を含む糞尿政策全体の評価として、何もしなければ、豚や鶏は実際より10〜20%多くなっていただろうとみている。 また、水枠組指令のこれまでの経緯を文献などで追った。同指令の目標は2015年までに地表水と地下水について良好な状態を達成することである。農業との関連では、共通農業政策との関係、特に農村開発プログラムやクロスコンプライアンスを水枠組指令の目標達成に役立てるか、ということや、目標達成に関する免除・延期の可能性、水の価格付けへの対応、さらには気候変動やバイオ燃料の水環境への影響といったさまざまな論点が検討されていることがわかった。
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Research Products
(5 results)