2009 Fiscal Year Annual Research Report
EUの水環境規制が加盟国の農業に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
20580249
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
西澤 栄一郎 Hosei University, 経済学部, 教授 (30328900)
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Keywords | 環境政策 / 環境調和型農林水産 / 農業経済学 / 水枠組み指令 / 流域管理 |
Research Abstract |
EUの水枠組み指令の実施状況を調査するため、聞き取りと資料収集を行った。訪問機関は以下のとおりである。ライン川国際保護委員会(コブレンツ)、ドイツ連邦食料・農業・消費者保護省(ボン)、ノルトライン・ヴェストファーレン州環境・自然保護・農業・消費者保護省(デュッセルドルフ)、バーデン・ヴュルテンベルク州環境・交通省(シュトゥットガルト)、バイエルン州食料・農業・林業省(ミュンヘン)、ミュンヘン工科大学(フライジング)。ライン川は9か国を流れており、スイスなどのEU非加盟国もその中に含まれている。ライン川国際保護委員会は流域全体の調整を行っている。具体的な対策は、ドイツでは州が、その他の国では各国の政府が行うことになっている。2009年には流域管理計画案が出され、パブリックコメントを踏まえ、同年末までに各国または各州で正式に策定された。これをうけて流域全体の管理計画もまとめられた。流域管理計画は6年後および12年後に見直されることになっている。基本的な対策は、従来の水関連のEU指令とその国内法の遵守であり、それでは目標達成に至らない地域などに対しては補完的な対策を行うこととしている。ライン川では、水質に関しては栄養塩類が主要な問題であり、水文形態に関わるものとしては、魚類の移動性の確保が大きな問題となっている。栄養塩類については農業での取り組みが中心であり、魚類の移動性の確保についてはダムでの魚道の設置が主な対策である。
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