2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際貿易空間均衡モデルのマクロ貿易政策シミュレーションモデルへの一般化
Project/Area Number |
20580255
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
川口 雅正 九州産業大学, 経済学部, 教授 (00003129)
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Keywords | 経済政策 / 政策シミュレーション分析 / 国際貿易空間均衡モデル / 農業経済学 |
Research Abstract |
殆どのCGEモデルやGTAPモデルにおける貿易の取り扱いは、アーミントン仮定に基づいており、異なる国で生産される生産物は同種のものでも異なる生産物とみなされるから、全く同じ生産物の市場での直接的な価格競争は否定され、生産物の需給調整はそれらの(相対)価格変化に基づく代替によらざるをえない。その結果としてGTAPモデルでは、初期(基準時)に与件として与えられる貿易ルートは、そのまま維持されるので、国際貿易への新規参入や国際貿易からの撤退も否定される。また農産物貿易で重要な関税割当制度の下での従価税・重量税及び輸送費等の変化の影響も、それによって誘発される相対価格の変化から生じる生産物問の代替を通して、間接的にのみ考慮されるので、その変化の影響を正確に考慮することは困難である。 これに対して、我々がこれまで改善し拡張してきた国際貿易空間均衡モデルは、同一生産物の価格競争による需給調整という基本命題に依拠し、国際貿易への新規参入や国際貿易からの撤退を考慮することができ、かつ実際の貿易制度や輸送費等を正確に考慮しうる実践的なモデルである。また不完全競争モデルの場合には産業内貿易を考慮することも出来る。かくて、アーミントン仮定に依拠することなく、我々の国際貿易空間均衡モデルをマクロ貿易政策シミュレーションモデルへと一般化することが本研究の目的である。 平成23年度は、産業内貿易を伴う不完全競争市場における貿易の理論的・実証的分析(関連文献の収集を含む)と、より現実的な事例での分析を行い、予定された研究をほぼ完成させ、研究成果最終報告書を刊行し、研究成果を関連学会等で発表した。
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