2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境・経済・社会の統合的モデリングによる持続可能な農業システムの設計
Project/Area Number |
20580256
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
林 清忠 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・環境影響評価研究チーム, チーム長 (40355475)
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Keywords | LCA / 持続可能性鼻 / 統合的モデリング / LCIデータ / 環境保全型農業 / バイオマス利用システム |
Research Abstract |
LCAを持続可能性の評価手法として発展させるため、社会的側面を考慮した影響評価手法ならびに統合的評価手法に関する研究を主として実施した。具体的には以下の通りである。 (a)社会的側面を考慮した環境影響評価手法 製品・サービスの社会影響を評価する社会LCAや社会影響評価等の研究成果を参考にしながら、持続可能な農業生産システムを設計する上で、どのような評価指標を用いるべきか等を検討した。社会LCAを実施するための前段の作業として、有機農業に取り組んでいる地域を対象に、社会影響評価指標に対する反応が有機農家と慣行農家の問でどのように違うかを検討した。用いた指標は、健康と社会福祉、生活環境の質、文化、家族・地域社会、制度・法、ジェンダー等と関わる。分析結果として、有機農家の方が社会的価値に相対的に反応しやすい傾向にあることが示された。 (b)農業システムの持続可能性評価手法 複数の持続可能性指標に基づいて総合的判断を行うための手法として、構成的アプローチの可能性を検討した。LCAと意思決定分析の双方の検討を通して、はじめからある人間の選好(価値判断)を引き出すのではなく、問題との相互作用の中で構成される選好を取り扱うことを目指す方法に可能性があることが示された。 (c)LCI(ライフサイクルインベントリ)データベースの構築等 LCIデータベースについては、環境保全型農業やバイオマス利用システムを対象とし、モジュール化の方法によって引き続き作成作業を行った。その際、産業連関表等に基づく従来の方法との違いを示した。さらに、ライフサイクル環境影響評価モデルについては、土地利用を中心に検討を加えるとともに、環境と経済の統合的評価手法についても再検討を実施し、昨年度までの研究内容を発展させた。
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