2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580257
|
Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
原 珠里 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・農業経営研究チーム, 主任研究員 (30355466)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 美紀 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・東北地域活性化研究チーム, 主任研究員 (00355265)
川手 督也 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80355263)
|
Keywords | 女性農業者 / キャリア形成 |
Research Abstract |
日本における女性農業者のキャリア形成の要因解明については、国内の女性農業者の聞き取り調査により、農業への関与についてはその時期や方法など1人で決定することは困難で、家族や経営の状況に応じて行っていること、しかしその中で自らの適性にあわせた方向で能力を向上させていることが明らかになった。また組織加入や役職経験は、自分自身の能力向上や情報獲得に繋がるだけでなく、家族からの評価を向上させる効果が大きいことが示された。 諸外国における女性農業者のキャリア形成の要因解明として、本年度はスイス連邦における普及・教育機関と農家調査を実施した。スイス連邦においては義務教育後に職業教育を受けるのが一般的であるため、親の農場を継承するために農業教育を受ける少数の女性以外は、農業者との結婚により農業に携わる場合が多い。結婚を機に「農家女性」の専門の講座を受講する事例もあるが、それ以前に経験した第一の専門職を継続することが女性の生活保障の観点から推奨されている。調査事例では自分の受けた教育や第一の職業を活かしながら農家生活における第二の仕事として展開していこうとする例がみられた。また、農業普及・教育機関では多様な再教育の機会が用意されており、それらの受講が新たな職業に繋がっている。農業経営における女性の役割は、日本ほど重要視されておらずまた明確化もされていない。農場の仕事は夫中心、家庭の仕事は妻中心という性別による領域の分離が当然視されている。親世代や従業員への家事供与は仕事として対価を支払われることが多い。以上のように、スイス連邦の諸制度と農家女性の実態の関連が明らかになった。
|