2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580257
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
原 珠里 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・農業経営研究チーム, 主任研究員 (30355466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 美紀 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・東北地域活性化研究チーム, 主任研究員 (00355265)
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Keywords | 女性農業者 / キャリア形成 |
Research Abstract |
日本国内のリーダー的女性農業者のロングインタビューにより、就農経緯による農業学習の相違と、就農に際する姿勢の重要性、就農後の様々な学習機会の獲得の状況について明らかにした。配偶者の方針も重大な影響力をもつが、女性農業者自身が学習機会を獲得し、そこでの学習成果を農業経営において活かしていけるように行動することが、女性農業者の経営内役割と深く結びついていることが明らかになった。普及センター等による各種のセミナーはその意味で大変重要であり、加工や起業といった分野だけでなく、生産技術に関わるセミナーの充実が求められる。女性の経営内役割や評価に関しては、家族経営協定の締結や、女性名義の資産獲得などが、男女共同参画セミナー受講等を機に実施されており、その重要性が明らかである。 海外調査として、本年度はオーストラリアで調査を実施した。オーストラリアにおいては、親世代と、また夫婦間での法的なパートナーシップが経営形態として一般的であり、収益や資産に関する権利が明確に規定されている。また、夫の両親を含む家族企業(パートナーシップ)から、夫婦のみのパートナーシップへの移行やそれに際しての農場移転の事例もみられ、夫婦が新しい事業としての農業経営を展開していこうとする姿勢がある。調査対象地域は、経営規模が大きい地域であり、作業等の専門分化が進んでいる。それらの中で妻である女性の役割はライフステージ(子育て期、子育て終了期)と経営概要(作目・規模)によって異なっており、妻自身の意向や能力よりもそれらの環境要因によって規定される状況がみられる。このように農業を取り巻く状況の違いが女性の役割の相違に大きく影響を与えている。
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