2008 Fiscal Year Annual Research Report
企業的農業経営に関わる経営支援共同組織の形態と成立可能性に関する研究
Project/Area Number |
20580258
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
恒川 磯雄 National Agricultural Research Organization, 中央農業総合研究センター・農業経営研究チーム, 主任研究員 (00469834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫田 登稔 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター・東北水田輪作研究チーム, 主任研究員 (00414780)
宮武 恭一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター北陸研究センター・北陸大規模水田作研究チーム, 主任研究員 (20355556)
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Keywords | 支援組織 / 経営機能 / 総合農協 / 専門農協 / 生産者部会 / 外部化 / 酪農協 |
Research Abstract |
研究初年の20年度は論的整理と事例調査を実施した。論点整理では最近の農協論等について検討した。総合農協の広域合併が進み、協同組合としての存立基盤・意義が失なわれつつあるとの指摘がある中で、専業的経営の経営支援体制の整備と地域生活協同組合化の両立、支部・部会等の分権的体制の構築が課題であると判明した。 事例調査は3地域で実施した。北関東では2つの酪農協で、経営指導の実態等について調査した。このうち組織規模が大きいA酪農協では、経営内容に差が大きい個別経営に関して十分なデータの把握ができず経営指導が行き届かないこと、小規模のB酪農協は産直活動を中心に高品質化で成果を上げてきたが、需要の減少で経営基盤が脅かされていることなどが明らかとなった。また、東海地域では個別複合経営のC農家で、支援組織としての総合農協との関係を調査した。農協では生産者部会体制が確立し、専業経営への支援体制もある。また、園芸品目の販売にも農協を利用している。他方、技術導入については各方面から独自に情報を入手している。さらに北陸地域において、大規模稲作経営の調査を実施した。個人経営のD農家は早い段階から個別販売を行う一方、資材購入や転作対応は農協対応で役職も経験している。法人のE経営の場合も販売等は独自対応である半面、農協施設も利用している。また、他法人と共同で販売会社の設立に取り組んでいる点が本課題との関係で注目された。 以上の事例では、個別専業経営は必ずしも全面的な「農協ばなれ」をせず、部分的な依存・利用が見られたが、個別経営の側からみた主体的取組みの程度までは明らかにできなかった。酪農協の例では、他の関係機関との連携・協調が今後の課題と思われた。
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