2009 Fiscal Year Annual Research Report
棚田の文化的景観保全に資する畦畔法面の除草管理手法
Project/Area Number |
20580261
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
内川 義行 Shinshu University, 農学部, 助教 (20324238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 和弘 信州大学, 農学部, 教授 (40021092)
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Keywords | 地域環境 / 農村景観 |
Research Abstract |
棚田では全国初の名勝指定地である長野県千曲市姨捨地区を対象に、未整備の棚田における畦畔法面の除草管理作業の省力・軽減化方策を検討する。 畦畔植生に期待される機能と特性として、(1)法面維持・崩壊防止機能として((1)被覆性、(2)緊縛性)、(2)営農・管理面から((1)耐害虫性、(2)低草丈、(3)刈払強度、(4)耐踏圧性)、(3)付加価値機能として((1)景観形成、(2)他感作用等)が指摘される。これらを踏まえ、2009(H21)年度は、当該地域の(1)棚田畦畔法面の作業環境における現況植生の実態把握をおこなった。この結果、1)全体では約70種の植物が観察され、2)このうち50種を超える種は複雑な形状の除草管理のしにくい法面に自生し、3)比較的一様な形状で管理しやすい法面では種数が相対的に少なく多様度が低いことが明らかとなった。これより、法面形状に併せた植生管理指針の検討が必要なことが明確となった。 また、(2)除草作業機械の種類別((1)動力刈払機、(2)自走式モア)による作業の安全性・合理性について調査を実施した。作業環境(法面形状)別に比較検討した結果、1)複雑な形状の法面での自走式モアの利用は極めて困難であり、天端等の平坦部もしくは法面最上部程度での利用に適していると判断された。2)基本的に動力刈払機の利用が不可欠であることが明確とされた。 以上より、複雑な形状の法面においては、出来るだけ管理を省力化する植生に転換してゆくと共に、複合的に法面への小段設置など作業環境の改善をはかる必要性が示唆された。
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