Research Abstract |
本研究は,軟弱地盤上に施工された農業土木構造物(干拓堤防など)の維持管理を目的とした最適設計に関するものである.軟弱地盤上の構造物は,改修等で載荷が生じた場合,長期の圧密沈下を起こすことが予想される.ここでは,長期残留沈下予測を適切に行う簡便な手法を開発しようとし,これに基づいて,供用期間内のライフサイクルコスト最小化に基づく最適設計問題を信頼性設計理論の立場から議論しようとするものである. 今年度は,以下の項目について検討を行って成果を得た. (1)圧密試験およびモデル化 第一に,試作した連結型圧密試験機を用い,長期残留沈下特性(二次圧密特性)を明らかにした、さらに,これらの挙動を満足するモデル化を行った.留意点は,モデル化の目標を長期変位予測対応に特化することで,モデルを簡略化し,パラメータ数を減らしなことである.一般に,現地では,変位と間隙水圧が計測されるので,モデルパラメータは,これらの計測値から同定可能となるように配慮した. (2)解析コードを用いた長期残留変位予測 開発した解析コードを用い,実施した定圧試験結果に対して,比較的早期の観測結果から長期の二次圧密を予測し,予測精度について検討した. (3)許容残留沈下量の超過確率の算定 一般に,変位予測値は不確定性を含むため,確定値としては得られない.このために,予測結果は,許容残留沈下量の超過確率という形で得られることになる.ここでは,変位予測値の不確定性を仮定し,モンテカルロ法を実施して確率の算定を行う解析コードの開発を行った. (4)ライフサイクルコストの算定と最適維持管理と改修方法の決定 (3)の解析コードを用い,残留沈下が許容値越えた場合を想定したシナリオ解析を行い,盛土構造物の損失費用を推定した.同時に,損失を防ぐための維持管理法も検討した.これらの費用からライフサイクルコスト求め,これを最小化する改良工法を検討した.
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