2010 Fiscal Year Annual Research Report
農的ライフスタイルを創出するコミュニケーションモデルに関する研究
Project/Area Number |
20580272
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
唐崎 卓也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・農村基盤研究領域, 主任研究員 (10370529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野見山 敏雄 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20242240)
波夛野 豪 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 教授 (30249370)
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Keywords | 地域通貨 / CSA / コミュニティ・ビジネス / コミュニケーション / 有機農業 |
Research Abstract |
本研究は、農的ライフスタイルの構築に向け、農家、都市住民を含む多様な人材間の連携を生むためのコミュニケーション手法の検討を目的とした。本年度は、地域通貨、コミュニティ・ビジネス、CSAといったコミュニティ活用型の手法の機能と効果を体系的に整理し、以下の知見を得た。1)多様な人材の協働によって運営される農業体験、里山保全、農産物直売等の活動の分析結果から、活動に関わる多様な人材間にコミュニケーションの契機を与え、活動に対する参加インセンティブとして機能する媒体の必要性を明らかにした。有効な媒体の一つに地域通貨を挙げ、農産物や里山資源等を原資とする地域通貨の優位性を考察した。2)過疎高齢化が進んだ地域において住民が主体となり生活店舗を運営する熊本県山都町よってはいよ、大分県中津市耶馬渓ノーソンくらぶ、宮崎県都城市茅葺きの里等の事例調査の結果、これらの店舗は住民間のコミュニケーションの場として機能するとともに、事業内容を福祉的活動や地場農産物・加工品販売等へと多様化させることで、事業収益の確保と地域振興につながる等の特徴を把握した。こうしたコミュニティ・ビジネス手法は、農村住民による相互扶助的な関係性の構築に有効であるが、事業に不可欠な資金・人材・情報の確保には、地縁型自治組織や行政による中間支援機能の活用が課題であることを明らかにした。3)CSAの国内先進事例である神奈川県大和市なないろ畑農場、北海道長沼町メノビレッジ長沼への調査の結果、消費者による農場へのボランティア参加や会員同士の交流が行われ、CSAが農家と消費者間のコミュニティ形成に寄与することを把握した。また、日本におけるCSA成立の可能性を検討し、農場と会員の居住区域が近接して、一定の会員数が確保できる都市近郊地域において成立の可能性があることを指摘した。
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