2009 Fiscal Year Annual Research Report
温度周期性に応答するカビ成長パターンの幾何学的解析とポストハーベストへの応用
Project/Area Number |
20580273
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
小出 章二 Iwate University, 農学部, 准教授 (70292175)
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Keywords | 積算温度 / 発芽 / RGB値 / 温度ストレス / 防黴 / ポストハーベスト / コロニー径 / HACCP |
Research Abstract |
温度ではなく積算温度の概念を用いて温度変動条件に対応できるカビの発芽・コロニー径のモデルを世界で初めて導出・検証した。また、Aspergillus oryzaeの分生子形成部の色値は温度ストレスに対して変化を呈すことが明らかとなった。このコロニーの画像解析を行った結果、RGB値のうち、G値が温度増加に対してほぼ直線的に上昇することが示された。このことより、カビのコロニー成長は形状(紋様)のみならず、色値の履歴も残すことが示され、今後の予測微生物学を構築する上で重要な基礎的知見となった。 次に、本研究では、ポストハーベストにおける防黴を目指すため、カビAspergillus nigarの防黴試験を、次亜塩素酸ナトリウムや水道水、微酸性電解水を用いて検討した。その結果、微酸性電解水の結果が顕著であり、有効塩素濃度20ppm程度の微酸性電解水温度を45℃付近とすることにより、10分の浸漬でおよそ90%の分生子が殺カビ可能であった。これより、in vivo(on Food)での測定として、パプリカにカビ分生子を点種し表面を乾燥させた後、温度45℃付近の微酸性電解水を用いた表面の洗浄を行ったところ、コントロール区と比較して顕著な防黴効果が得られた。 以上より、カビの成長や、その防黴のポストハーベストへの応用として、輸送中損傷を受けやすいイチゴに灰色かび病の原因となる供試菌を接種し、その防黴効果を電解水洗浄等で試験するとともに、一方では、イチゴパック内でのカビの広がり(方向性等)を、包装容器内の青果物の配置(並べ方、接触面積)や生理的特性、温度条件から観察した。これは、いつ、どこで、どのような防黴対策が重要となるか、いわゆるHACCPにおける重要管理点を調べるもので、現在も測定進行中である。
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Research Products
(2 results)