Research Abstract |
・本研究で開発している桃を傷付けずに収穫するエンドエフェクタは,カメラの絞り開閉機構を応用し,桃を直接把持せず収穫を可能としたものである。昨年度明確になった絞り機構の課題を解決するために,本年度は,薄くても強度があり,かつ柔軟性のある絞り羽根を実現するために,SK材を用いて製作した。本絞り機構を2組製作して,枝押さえと果実の離脱を可能とし,サーボモータによる駆動機構を組込,絞り機構の開閉と離脱を実現した。本試作装置の動作を検証するために,模擬果実による収穫実験を実施した結果,絞りの開閉にほぼ問題なかったが,枝と果実の分離は,サーボモータのトルク不足により,回転を上げることができず,時間を要した。この課題はモータの大型化により克服可能であるが,重量増とのトレードオフになる。 ・熟度判定装置は,エンドエフェクタに組み込むことを前提として,市販のセンサを用い,ワンチップマイコンを制御装置として製作した。ニオイ検出には,ガスセンサを,表面色の検出にはカラーセンサを,大きさの測定には光学式距離センサをそれぞれ用いた。ガスセンサによる桃のニオイ検出は,桃のニオイに対して予め反応を確認していたが,実際に成育している桃で試したところ,感度が低く,さらに屋外でもあったため,不安定な結果となった。カラーセンサによる表面色の測定は,対象色付近のキャリブレーションにより,使用可能であることが確認できた。また,大きさ検出は,位置によらず,最大直径を計測することができた。今後はこれらセンサからの情報を一括して処理し,熟度評価式を構築して,判定する必要があるが,実際の成育中の桃測定データより,ある程度の傾向は把握できたが,確度を上げるためにさらなるデータの収集が必要である。
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