2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580291
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
青山 真人 宇都宮大学, 農学部, 助教 (90282384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
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Keywords | 乗り物酔い / 輸送 / ストレス / ヤギ / ジフェンヒドラミン / c-Fosタンパク |
Research Abstract |
輸送が家畜にとって重大やストレスとなることは以前から分かっているが、家畜は嘔吐ができないため、家畜が乗り物酔いをするか否かは明らかとなっていない。そこで本研究は、ヤギをモデル動物として、輸送により乗り物酔いになるか否かを、行動薬理学および組織化学的に明らかにすることを目的とした。 ヒト用の酔い止め薬であるトラベルミン(酔い止め作用を持つジフェンヒドラミンを含む)をヤギに投与(筋肉内注射)し、輸送を行なった。その結果、対照の生理食塩水を投与した区に比べ、トラベルミンを投与した区では、伏臥位姿勢を取る時間は差がなかったが、伏臥位状態の際に下を向いている時間の割合が有意に少なかった。また、立位-伏臥位の繰り返し回数は、トラベルミン区の方が有意に多かった。さらに、採血等のために実験者がヤギに触れた際に、逃走を試みた回数は、トラベルミン区の方が生理食塩水区よりも多かった。延髄には三半規管からの平衡感覚の入力部位である前庭核、嘔吐中枢と考えられている網様帯など、乗り物酔いや悪心に関わる部位が存在している。この部位におけるc-Fosタンパク質の発現を検討した。現在、まだ検討中であるが、前庭核において、輸送によりc-Fosタンパク質の発現が観られた。これらのことより、ヤギは輸送により乗り物酔いをしている可能性が示された。 育成牛(黒毛和種)を用い、ウシの輸送中の様子を観察した。その結果、輸送中のウシは通常(輸送開始前)と比較して、口吻からの唾液の流出、排尿と排糞の頻度の増加が観察された。また、急加速、カーブ等、加速度が多い輸送は、少ない輸送に比べ、排尿と排糞の頻度がより多かった。ウシについては乗り物酔いの可能性が不明であるが、上記の結果より、ウシも輸送によりなんらかの生理的変化を起こしており、さらにそれは輸送の「荒さ」に影響を受けることが示された。
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Research Products
(2 results)