2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580296
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小櫃 剛人 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (30194632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 利久 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教 (90363035)
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Keywords | アミノ酸 / アルギニン / 牛 |
Research Abstract |
乳牛の乳腺組織での乳タンパク質合成量の制限要因を探索するために、多種の代謝産物の基質となりうるアルギニンに着目し、アルギニンとその関連代謝物の乳腺組織における代謝動態を乳腺組織での動静脈差などをもとに明らかにすることが本研究の目的である。本年度は、アミノ酸の乳腺組織への取り込みに関与する要因を明らかにするために、動脈血中のアミノ酸濃度と乳腺組織での取り込み(動静脈差)との関連を調べた。 9頭の経産牛を用い、分娩30日前から分娩60日後まで、経日的に尾動脈と乳房静脈血を採取し、血漿中遊離アミノ酸濃度を測定した。各アミノ酸について、分娩前と分娩後にわけて、動脈血漿中濃度と動静脈差および取り込み率の相関関係を解析した。分娩前ではほとんどの必須アミノ酸において、動脈血漿濃度と動静脈差との間に有意な相関関係はみられなかった。分娩後では、ほとんどの必須アミノ酸で、動脈血漿中濃度と動静脈差との間に、2次曲線的な相関が認められた。しかし、アルギニンに関しては、動脈濃度の増加に伴い動静脈差が直線的に増加した。また、多くの必須アミノ酸で動脈血漿中濃度が同程度であっても、分娩後の方が分娩前に比べ、動静脈差は大きくなった。特に、アルギニンに関しては、動脈濃度が同じであっても分娩後の動静脈差は4倍程度増加した。一方、動脈血漿濃度とアミノ酸取り込み率との間には、分娩前および分娩後とも、多くの必須アミノ酸で有意な相関関係はみられなかった。これらのことから、乳腺組織でのアミノ酸の取り込み量は、分娩後では濃度依存的に増加することが明らかとなった。特にアルギニンに関しては、動脈血漿濃度の増加がわずかであっても乳腺組織への取り込み量がすみやかに増加することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)