2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580296
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小櫃 剛人 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (30194632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 利久 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教 (90363035)
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Keywords | アルギニン / 乳腺組織 / アミノ酸 / 乳タンパク率 / 乳牛 / 加熱大豆粕 |
Research Abstract |
乳腺組織内におけるアルギニンの代謝動態について、(1)主な給与粗飼料源の影響(実験1)ならびに(2)泌乳初期でのタンパク質補給の影響(実験2)について検討した。 実験1では、コーンサイレージ単独給与区とコーンサイレージ+グラスサイレージ併給区での乳生産と乳腺組織でのアミノ酸代謝の関連を検討した。併給区で乳脂率が高まる傾向にあったが、乳量や乳タンパク率には違いはなかった。乳腺組織でのアミノ酸の利用状況にも給与区による違いはなかったが、アルギニンの乳腺組織での取り込み率はいずれの給与区でも他のアミノ酸に比べて高かった。実験2では、分娩前の乳牛を対照区と加熱大豆粕給与区の2群にわけ、分娩30日後まで乳生産状況と乳腺組織でのアミノ酸代謝を調査した。加熱大豆粕給与区では配合飼料1kg分を加熱大豆粕1kgと置き換えて給与した。乾物摂取量、FCM生産量、乳タンパク率は加熱大豆粕給与区で高く推移した。しかし、分娩後でのアルギニンの動脈血漿中濃度、乳腺組織動静脈差、取り込み量には、処理区間に違いはなかった。一方、アルギニンの乳タンパク質への変換効率と乳への分泌量は、加熱大豆粕給与区において分娩20-30日後に高くなる傾向にあった。この時期では、加熱大豆粕区での飼料摂取量が多く、エネルギー基質の乳腺組織での取り込み量も多かったことから、エネルギー摂取量の増加が乳腺でのアルギニン代謝に間接的に影響したものと推察された。さらに、アルギニンの代謝物である尿素やクレアチニンの乳静脈濃度が動脈濃度より高かったことから、アルギニンは乳タンパク質合成以外の種々の代謝にも利用されていることが示唆された。以上のことから、エネルギー摂取量を高めることで、アルギニンの乳タンパク質への変換が高まり、乳タンパク質生産が増加する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)