2010 Fiscal Year Annual Research Report
染色体セグメントモデルによる遺伝的評価システムの開発
Project/Area Number |
20580303
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
祝前 博明 京都大学, 農学研究科, 教授 (00109042)
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Keywords | 遺伝子効果 / 量的形質遺伝子座 / SNP / 予測法 / ゲノム評価 / ベイズ法 / カーネル多変量解析法 / アルゴリズム |
Research Abstract |
ゲノムの全域にわたる一塩基多型(SNP)の情報を用いて個体のトータル育種価(相加的遺伝子型値)を予測するゲノミック評価の手法に関して、昨年度に検討を加えたベイズ解析手法のいくつかの変法について検討を加えるとともに、カーネル多変量解析の手法についても検討した。 まず、多数のSNPを、遺伝分散が0のSNP群、相対的に効果の小さいSNP群および効果の大きいSNP群として大別した取り扱いが可能な手法について検討を加え、その際、SNP効果の分布について、正規分布のみならずラプラス分布のような分布を仮定した演算手法の開発にも取り組んだ。具体的には、ベイジアンLasso、Mixtureなどの手法の演算手法を確立した。 さらに、グラム行列形成のためのカーネル関数として複数種を設定し、再生核ヒルベルト空間回帰分析によるゲノム育種価の推定手法の性能について検討を加えた。実データとしてヘテロストックマウスのデータを用い、総コレステロールなどの形質を分析した。カーネル関数として、ガウスカーネルのほか、線形カーネル、ANOVAカーネル、ラプラスカーネルなどを取り上げた。比較のために、ベイジアンリッジ回帰法およびベイズB法等による解析も行い、交差確認における予測ゲノム育種価と表現型値との相関などを求めた。その結果、異なるカーネル関数を設定しても推定性能に実質的な差異は認められず、ベイジアンリッジ回帰法およびベイズB法の推定性能と比較しても大差は認められなかった。なお、いずれの手法の場合も、表現型値の予測ゲノム育種価への1次回帰係数はほぼ1であった。今回の検討から、再生核ヒルベルト空間回帰分析によるゲノム育種価の予測性能は、概してベイズB法などの性能と同程度である可能性が示唆された。
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