2008 Fiscal Year Annual Research Report
家畜の雄性不妊症を引き起こす精子の受精機能不全に対する分子標的治療法の開発
Project/Area Number |
20580310
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原山 洋 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (30281140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正史 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 教授 (60093316)
村瀬 哲磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30303514)
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Keywords | ブタ / ウシ / 精子 / ハイパーアクチベーション / 先体反応 / 細胞内シグナリング / 環状アデノシン1リン酸 / カルパイン |
Research Abstract |
精子sACの分布観察と機能解析:48kDaおよび70kDaの2種類のsACアイソフォーム(truncated forms)を特異的に認識するマウス抗組換えブタsAC抗体を作製することができた。この抗体を用いた間接蛍光抗体法により,ブタ精子においてsACは主に頭部赤道節と頚部に分布することを明らかにした。また精子頭部のsACがNaHCO3処理により活性化されると,キャパシテーションや先体反応に必須の細胞内カルシウムイオン濃度の上昇が促進されることを示した。なおウシのsACについてはcDNA配列解析および精巣でのmRNA発現解析が概ね終了し,抗体作製のための組換えsACの合成に着手している。 精子のカルパインとHSPの分布観察と機能解析:ブタ精子先体に存在するカルパインのプロテアーゼ活性を細胞膜透過性阻害剤(25μM)により抑制したところ,cAMP依存的な先体反応を示す精子の割合が有意に低下した。この結果から,ブタの低受胎性の一因である時期尚早な精子の自発的先体反応を抑制するためのターゲット分子に先体のカルパインがなりうると推察した。またHSPについてはウシおよびブタの精子での分布状態の観察に適した抗体を得るための反応特異性に関する実験を継続している。 ウシの繁殖能力診断:本年度に兵庫県立農林水産技術総合センターにおいて生産された種雄牛候補の雄個体すべてにおいて繁殖能力は正常で,不妊雄ウシは見られなかった。 その他:外因性グルコースにブタ精子でのcAMP依存的な先体反応やハイパーアクチベーションを抑制する作用を見出したが,この結果は糖代謝系の構成分子が分子標的治療法のターゲット分子になる可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)