2009 Fiscal Year Annual Research Report
家畜の雄性不妊症を引き起こす精子の受精機能不全に対する分子標的治療法の開発
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20580310
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原山 洋 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (30281140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正史 神戸大学, 自然科学系先端融合研究環重点研究部, 教授 (60093316)
村瀬 哲磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (30303514)
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Keywords | 精子 / 黒毛和種 / ブタ / 環状アデノシン1リン酸 / ハイパーアクチベーション / グルコース / 細胞内シグナリング / アクロソーム |
Research Abstract |
・sAC断片型フォームを特異的に認識するマウス抗ウシsAC抗体を作製することができた。この抗体を用いた間接蛍光抗体法により,ウシ精子ではsACは主に頭部赤道節,頚部および鞭毛主部に分布することを明らかにした。他方,機能解析のための細胞内カルシウムイメージングを凍結保存精子を用いて実施したが,炭酸水素イオン添加前の段階でのFluo-3/AMの蛍光バックグランドが高く,炭酸水素イオン添加による効果を明確に捕らえるのが困難であった。現在は凍結保存精子に対するFluo-3/AMの好適導入濃度を検討するとともに,新鮮精子での再検討の準備を進めている。 ・cAMP依存性のハイパーアクチベーション(HA)を示すブタ精子の中片部ではAMPKが活性化していることを明らかにした。またAMPKの活性化にはPKAの関与が必要であること,および培養液にAMPK阻害剤を添加すると運動精子率の有意な低下を引き起こすことなく,HAの発現が強く抑制されることを指摘した。これらの結果はブタ精子の受精にAMPKが関与することを示唆している。 ・(ブタ精子)カルパイン阻害剤にはcAMP依存的なHAの発現を抑制する効果が認められた。他方,液状保存に伴う自発的な先体反応の発生状態については観察の実施が遅れているため,その発生状態に一定の傾向を見出せていない。(ウシ精子)8頭の雄の凍結精子を3回洗浄後に培養液に再浮遊したところ,うち4頭の精子では耐凍能が低く,著しい先体の損傷が認められた。そこでカルパイン阻害剤に関する実験を一時中止して,低耐凍能精子の詳細な観察を実施したところ,凍結前の段階で先体のリン酸化タンパク質は著しく減少していることが判明した。このリン酸化タンパク質は治療法開発のためのターゲット分子になりえると期待される。 ・次年度の課題のための実験材料として,数頭の低繁殖症雄ウシ由来の凍結精子を作製した。
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Research Products
(7 results)