2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580312
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
建本 秀樹 琉球大学, 農学部, 教授 (70227114)
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Keywords | ブタ精子 / アグー / 凍結保存 / ミトコンドリア / アポトーシス様細胞死 / 凍結障害 / カスパーゼ活性 |
Research Abstract |
近年、ヒト精子において凍結障害がアポトーシス様細胞死を誘導し、カスパーゼの活性化を起こした精子では融解後の受精能力が著しく低下するとの報告がなされた。しかし、アポトーシス誘導機序に関わる細胞内因子と凍結融解後の精子性状性との関連を詳細に追求した報告はない。そこで本研究では、アグー精子の凍結処理過程におけるアポトーシス様細胞死誘導を検証すると共に、ミトコンドリアに依存したカスパーゼの活性化を抑制するBcl-xLから遺伝子組み換え技術で作製した新規細胞死抑制タンパク質(FNK protein)による処理が融解後の精子性状に及ぼす影響について検討した。 その結果、無処理区の凍結精子では、高頻度(40-55%)にカスパーゼの活性化が確認された。しかし、FNK protein処理濃度に依存して活性化型カスパーゼを有する精子の割合は著しく減少し、300nMのFNK protein処理区では、無処理区(39-42%)に比較して正常なミトコンドリアを有する精子が有意に増加(53-59%)すると共に、高い細胞内ATP量も観察された。そして、凍結時のFNK protein処理により、融解後にDNA障害性を示す精子の割合は有意に低下し、精子運動性は顕著に改善された。さらに、体外受精試験の結果、FNK protein処理区の精子侵入率は、無処理区の値から14-33%も有意に引き上げられた。しかしながら、細胞膜障害へのFNK protein処理の効果は認められなかった。 以上の結果から、アグー精子の凍結処理時にはカスパーゼの活性化を伴うアポトーシス様細胞死が誘導されており、ミトコンドリア依存型カスパーゼ活性化機序を効果的に抑制するFNK protein処理は融解後の精子性状性を著しく改善することが明らかになった。
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Research Products
(6 results)