2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20580313
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
久保田 浩司 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80263094)
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Keywords | 精原幹細胞 / 精子形成 / 増殖因子 |
Research Abstract |
これまでの研究から、Kitチロシンキナーゼ受容体遺伝子に変異のある精子形成不全Wv/Wvマウスから分離された精原幹細胞の長期培養は可能であり、KITが精原幹細胞の自己複製に関与しないことを示してきた。今回、Wv/Wv分化不全精原幹細胞への正常Kit遺伝子導入による機能回復実験を試みたが、安定発現株は得られなかった。これは導入遺伝子がメチル化等の修飾を受け、その発現が抑制されている可能性と、KITの過剰発現による分化誘導の可能性が考えられた。レポーター遺伝子を導入しても同様に安定発現株が得られなかったことから、前者の可能性が高く、精原幹細胞における長期発現ベクターの開発が必要であることが示唆された。 培養系にて維持される野生型精原幹細胞には、弱いながらKITが発現しており、また培養に用いられるフィーダー細胞にはKIT リガンドが発現することから、野生型精原幹細胞は培養系においてKIT からの分化刺激を恒常的に受けている可能性が示唆された。KIT からの分化刺激によって誘導される遺伝子を同定するため、機能的KITを発現する野生型精原幹細胞とKITを機能しないWv/Wv精原幹細胞のトランスクリプトーム解析を行った。得られたデータからパスウェイ解析を行ったところ、実際にKITのシグナル伝達系に関与する遺伝子の発現がWv/Wv精原幹細胞において低下していた。さらに野生型精原幹細胞において特徴的に発現している遺伝子10個を同定した。このなかに精原幹細胞の分化誘導に関与する遺伝子が含まれている可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)