2009 Fiscal Year Annual Research Report
安全で機能的な低病原性ニューロトレーシングウイルス作製系の開発
Project/Area Number |
20580319
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
谷口 隆秀 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (70282803)
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Keywords | ウイルス / 脳・神経 / バイオテクノロジー / ニューロトレーサー |
Research Abstract |
豚赤血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(PHEV)は、コロナウイルス科グループ2に属し、エンベロープを有する+鎖ssRNAウイルスである。PHEVは自然宿主である豚でもほとんど不顕性感染となる極めて病原性の低いウイルスであるが、実験動物であるマウス、ラットの神経細胞に感染し、シナプスを介して神経回路を伝達して感染が進むことが明らかとなり、病原性の低いウイルス性ニューロトレーサーとしての有用性が示唆されている。一方、病原性が低いことからこれまで感染症としては重要視されておらず、PHEVのゲノム構造と病原性との関係についてはほとんど解明が進んでいない。PHEVをニューロトレーサーとして改良するためにゲノム情報と構造を解析し、また主要な遺伝子の病原性との関係について検討した。また、PHEVの神経系細胞での感受性について検討するため、ラットおよびヒトの株化神経細胞、グリア細胞を用いてin vitroにおけるPHEV感受性について検討した。 神経細胞親和性を指標として選抜することにより得られた高神経細胞親和性67N平野亜株の全塩基配列を決定した。また、神経病原性が弱いとされるOSN204株C末側8kbの塩基配列を決定し、67N株とOSN204株の同領域に見られた塩基の大幅な挿入と欠失が神経病原性に関わる可能性もあると考えられた。 67N株、OSN204株とも、グリア細胞株へのPHEV感染は認められなかった。また、神経細胞株においても神経細胞への分化処理を行わない場合にはPHEVの感染は確認されなかった。
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