2008 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞分化に及ぼすTGF-βファミリーとMitfの役割
Project/Area Number |
20580330
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
村上 賢 Azabu University, 獣医学部, 教授 (80271360)
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Keywords | TGF-βファミリー / Mitf / 遺伝子発現制御 / 破骨細胞分化 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究では、多様な機能をもつ重要なサイトカインであるTGF-βファミリーとレセプター、その細胞内情報伝達因子であるSmad、そして細胞特異的転写因子であるMitf(Microphthalmia-assosiated transcription factor)に注目し、破骨細胞分化過程における分子機序の一端を明らかにすることを目的としている。 研究初年度は、RAW264細胞(マクロファージ系細胞)株を用いて、RANKL処理による破骨細胞様細胞への分化誘導におけるTGF-β、アクチビン、BMP刺激の影響を調べた。Trap染色による形態学的観察では、TGF-βやBMPとは異なり、アクチビン刺激によって、より顕著な多核の融合した破骨細胞様細胞が認められた。また、各種破骨細胞分化マーカー遺伝子の定量的real-time RT-PCR解析では、アクチビン刺激時にAcp5、Clcn7、Ctsk、Oscarの遺伝子がより多く発現していた。各Mitfアイソフォーム遺伝子に特異的なRT-PCR解析により、破骨細胞様細胞への分化時において特徴的なMitfアイソフォームの発現があることがわかった。各種破骨細胞分化マーカー遺伝子のプロモーター領域を含むリポータープラスミドを構築し、HepG2細胞を用いたリポーターアッセイを試みたが、特徴的なMitfアイソフォームによる発現応答の有意な相違は認められなかった。 RAW264細胞のTGF-β1刺激時において、通常の細胞内情報伝達経路であるAR-Smadのリン酸化の他に、BR-Smadのリン酸化も予期せずに起こっていることがわかった。これは、TGF-βファミリーの各種レセプターmRNAのreal-time RT-PCRによる絶対定量から、Alk5の発現に加えてAlk1の高度な発現が認められることが原因であると考えられた。
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