2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20580331
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
内藤 順平 Teikyo University of Science & Technology, 生命環境学部, 教授 (30048467)
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Keywords | 視覚進化 / 網膜節細胞 / 視蓋 / 網膜投射 / カルシューム結合タンパク / ヒヨコ / カエル |
Research Abstract |
眼の網膜に映った物体の形、色、奥行き、動きなどの様々な視覚情報は網膜から脳の視覚中枢へ伝えられるが、中枢での視覚情報処理の仕方は動物により異なっている。哺乳類では複数の一次視覚中枢が間脳と中脳にあり、そこで並行分散的に処理されているのに対し、鳥類では中脳視蓋で集約的に処理されている。本年度はヒヨコとカエルを用い、以下の点について検討した。1)ヒヨコの網膜内網状層には、カルレチニン陽性亜層とパルバルミン陽性亜層がそれぞれ異なる6つの亜層を形成する他、2つ亜層があることが分かった。これは網膜節細胞の樹状突起が作る8つの亜層(NaitoとChen、2004)と数と幅が一致することを示す。2)視蓋のF層に投射するnアセチルコリン受容体陽性節細胞の多くはsimple type(GIIIs、GIIs)と少数のcomplex type(GIIc)であった。3)順行性トレーサーを用いたカエルの実験では、網膜節細胞はヒヨコと同様、主として中脳視蓋に投射した。その投射層は特定されなかったが、終止層の数はヒヨコのそれよりも少ない様に思われた。4)カエルの逆行性軸索蛍光トレーサー実験から網膜節細胞の樹状突起の分岐パターンの種類は、ヒヨコのそれよりも少ないことが示唆された。5)カエルの視覚行動実験装置の作製が終わり、一部実験を試験的に行った結果、気温が低い冬季では白色光を選ぶ傾向が見られた。さらに生息環境の違いや行動学的特徴から鳥類との違いを検討する必要がある。視覚情報処理機構の違いを明らかにし、視覚進化の生物学的な意味を検証する。
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