2008 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-bスーパーファミリーの機能分担によるアレルギー炎症の制御機構
Project/Area Number |
20580334
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小川 健司 The Institute of Physical and Chemical Research, 辻本細胞生化学研究室, 専任研究員 (50251418)
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Keywords | Activin A / TGF-β / Bリンパ球 / IgA |
Research Abstract |
ActivinAとTGF-β1は、ともにTGF-βファミリーに属する多機能因子である。両者は類縁の分子ではあるが異なる遺伝子にコードされ、異なる受容体に結合する。しかし、両者のシグナル伝達は同一の分子(Smad2/Smad3)が担うと考えられて来た。我々は、ActivinAとTGF-β1が異なる作用を示す組織または細胞が、体内のどこかに存在し、それがこの二つの因子の作用の本質を解明する「鍵」になるであろうと想定した。我々は、我々自身の得た研究結果から、この可能性があるのは免疫担当細胞に違いないとの仮説のもとに研究を進めた結果、抗体を産生し、液性免疫に重要な働きをするB細胞ではActivinAとTGF-β1が明らかに異なる働きをすることを発見した。TGF-β1はB細胞のIgAクラススイッチを誘導し、増殖を抑制するが、ActivinAはIgGの分泌を促進し、増殖を促進することが明らかになった。我々の研究成果は、B細胞を用いた研究によって、両因子の細胞内シグナルの違いを解明しうる可能性を明示している。我々は、両因子のB細胞での作用の違いをより詳細に検討した。B細胞におけるSmad7の発現は、ActivinA、TGF-β1の何れの刺激によっても、刺激後2.5時間で誘導されることが明らかになった。これは、両因子によりSmad2/3シグナルが活性化したことを示している。一方、IgA遺伝子(germline and postswiched a transcripts)の発現は、TGF-β1では誘導されるが、ActivinAによっては誘導されないことが明らかとなった。これらの結果から、TGF-βとactivinのシグナル伝達には、既知のSmad経路以外の経路が存在し、これが両因子の作用の違いを表す原因となっている可能性が示された。
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