2010 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-bスーパーファミリーの機能分担によるアレルギー炎症の制御機構
Project/Area Number |
20580334
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小川 健司 独立行政法人理化学研究所, 分子リガンド探索研究チーム, 専任研究員 (50251418)
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Keywords | Activin A / マクロファージ / Toll-like receptors |
Research Abstract |
我々は獲得免疫と自然応答の双方において重要な役割を果たすマクロファージにおけるアクチビン産生とその機能についての研究を進めている。Toll-like receptors (TLRs)は、細菌やウイルスなどの病原微生物に由来する因子を認識し、自然免疫応答に重要な役割を果たす。中でも小胞体に局在するTLR7は一本鎖RNAをリガンドとし、RNAウイルスの感染を感知して活性化するとサイトカインの産生を介して抗ウイルス自然免疫応答を誘導する。本研究の結果、TLR-7のアゴニストであるR848の刺激を受けて活性化したマクロファージは、アクチビンを産生することが明らかとなった。また、このR848によるアクチビン産生は、mRNAレベルで調節されている事が示された。次に、R848刺激後のアクチビンmRNAレベルの経時変化を検討した。I型インターフェロン(IFN-α,IFN-β)のmRNAが刺激後1時間以内に急激に上昇し、4時間以内には刺激前のレベルに戻るのに対し、アクチビンmRNAがピークに達するまでには約4~6時間を要し、その後発現上昇が持続する傾向が見られた。アクチビンと同様の経時変化を示すiNOSの発現誘導は、シクロヘキシミド処理によって阻害されたが、アクチビンの発現誘導は完全には阻害されなかった。このことは、TLR7活性化によるアクチビンの誘導には新規タンパク質合成を必要としない可能性を示唆している。実際に、TLR7シグナルで活性化される転写因子のNFκBがアクチビンの転写を促進することがレポーターアッセイによって明らかにされた。アクチビンは抗ウイルス免疫応答に重要な働きをする因子であると考えられる。
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Research Products
(2 results)