2008 Fiscal Year Annual Research Report
コウモリ由来SARS-LIKEコロナウイルスの感染性に関する研究
Project/Area Number |
20580336
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
福士 秀悦 National Institute of Infectious Diseases, ウイルス第一部, 主任研究官 (80373398)
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Keywords | SARS-CoV / コロナウイルス / SL-CoV / レセプター / コウモリ |
Research Abstract |
本研究の目的は、コウモリから検出された、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)に近縁のSARS-LIKEコロナウイルス(SL-CoV)の感染性を解析し、どのような動物種にSL-CoVが感染可能なのか明らかにすることである。平成20年度は、SL-CoVの感染性を解析するためのツールを得るため、SL-CoV Sを被ったVSVシュードタイプを作製した。まず、SL-CoVのS遺伝子cDNAを哺乳動物細胞発現用ベクターにクローニングした。このプラスミドを293T細胞にトランスフェクションし、ウェスタンブロットによりSL-CoV Sタンパク質の発現を確認した。次にSL-CoV Sを発現させた293T細胞にVSV-Gを被ったVSVシュードタイプを種ウイルスとして感染させ、培養上清からSL-CoV Sを被ったVSVシュードタイプ(VSV-SL-S)を回収した。SL-CoV Sのさまざまな変異欠失体を持つシュードタイプも同様の手法で作製した。これらのVSVシュードタイプをVero E6、コウモリ由来BKT1、およびACE2を発現するBHK細胞に接種したところ。いずれの細胞にも感染しなかった。これらの結果からSL-CoVはSARS-CoVとは異なり、ACE2をレセプターとして使用しないと考えられた。また、Vero E6,コウモリ由来BKT1にはSL-CoVのレセプターは発現していないと考えられた。今後、さらに多くの培養細胞を用いてVSV-SL-Sの感染性を解析することにより、コウモリに常在していたSL-CoVがどのような中間宿主をへて、どのようなメカニズムでヒトに伝播するSARS-CoVになったのか解明する手がかりになる。
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