2008 Fiscal Year Annual Research Report
パラポックスウイルス感染症の皮膚病変発現に関する細胞生物学的研究
Project/Area Number |
20580339
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
猪島 康雄 Gifu University, 応用生物科学部, 准教授 (20355184)
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Keywords | パラポックスウイルス / 血管内皮増殖因子 / ウシ / ヒツジ / ヤギ / ニホンカモシカ / 感染症 / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
パラポックスウイルス(PPV)感染症においては、同じウイルスが感染しても、動物種の違い(ウシ、ヒツジ、ヤギ、カモシカ)により、皮膚病変の程度が大きく異なる。本研究では、細胞側、宿主側要因に焦点を絞り、皮膚病変発現レベルの差を明らかにすることを目的とする。 本年度の前半は、実験に不可欠なウシ、ヒツジ、ヤギ、カモシカの内皮細胞の培養系確立を目指し専念した。その結果、それぞれの大動脈から血管内皮細胞を分離、培養する手法の確立に成功した。さらに内皮細胞の純粋培養を目指し、内皮細胞の表面マーカーを認識する市販抗体の有効性を検討したが、本実験で使用している偶蹄類の内皮細胞の純化には利用できないことが明らかとなった。そこで、内皮細胞の細胞質内マーカーを指標に、フローサイトメトリー解析を行い、内皮細胞の純化の割合を定量する実験系を確立した。 得られた各種動物由来内皮細胞に、大腸菌で発現させたPPVの血管内皮増殖因子を添加し、その増殖効果を比較したところ、カモシカ内皮細胞が最もよく反応し、増殖した。この反応性の差が、カモシカにおける重度の皮膚病変と関係することが示唆され、現在さらに詳細に解析中である。 これらの成果の一部は、The 3^<rd> International Meeting on Asian Zoo/Wildlife Medicine and Conservation 2008および第146回日本獣医学会学術集会で発表し、国際科学雑誌において印刷中である。
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