2009 Fiscal Year Annual Research Report
動物・ヒト間の多剤耐性ブドウ球菌相互感染と耐性因子伝達様式
Project/Area Number |
20580340
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中馬 猛久 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (90201631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 嘉六 鹿児島大学, 農学部, 教授 (00136847)
西 順一郎 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40295241)
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Keywords | ブドウ球菌 / 薬剤耐性 / MRSA |
Research Abstract |
代表的な院内感染菌であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のβラクタム薬耐性は、SCCmecに含まれるmecAが関与していることが知られている。これまで牛、馬および伴侶動物からmecA保有Staphylococcus intermedius group (SIG)が分離されている。これらのSIGに属する株を分類するとともにブドウ球菌属のmecA保有状況、SCCmec型別および薬剤感受性状況を調べた。2002年1月から2009年1月の期間に本学および鹿児島市内開業動物病院に来院した犬と猫から分離され、ブドウ球菌と同定された119株を用いた。種の同定と菌株の型別には、コアグラーゼ試験、PCR法によるnuc遺伝子とmecA遺伝子の検索、sodA遺伝子のダイレクトシークエンスを行った。SCCmec型別はPCR法によるSCCmec要素の検索、薬剤感受性試験はディスク法を行った。ブドウ球菌属119株中S. aureus (SA)は20株、SIGは65株、コアグラーゼ陰性Staphylococcus (CNS)は34株だった。mecA保有率はSAで55%、SIGで42%、CNSで9%だった。このmecA保有SIG株についてはシークエンス解析の結果、S. pseudointermedius (SP)と同定した。SCCmec型別はSAでは6株がII型、5株がIV型だった。SPでは17株がIII型、9株がV型に型別され、1株が型別不能だった。院内感染型とされるSAのII型株に関しては8薬剤中5薬剤に、SPのIII型株に関しては8薬剤中8薬剤に8割以上の株が耐性を示す高度な多剤耐性を示した。以上より、犬と猫から分離されるほとんどのSIGはSPである可能性が高いことが示唆された。SAはヒトの流行型のII型とIV型に型別され、ヒトと動物の間での伝播の可能性が示唆された。動物において外耳炎や膿皮症を起こすSPがIII型、V型に型別され。SAへの遺伝子プールとなる可能性が考えられた。
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Research Products
(2 results)