2010 Fiscal Year Annual Research Report
豚レンサ球菌ゲノムの網羅的比較による新規病原マーカー遺伝子の探索
Project/Area Number |
20580348
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関崎 勉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70355163)
|
Keywords | 豚レンサ球菌 / 病原遺伝子 / サブトラクション / 遺伝子ノックアウト / マーカー遺伝子 / 細菌学 / 獸医学 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究計画では、遺伝的に異なる2つの強毒株集団からそれぞれ代表株を選び、これらゲノムDNAに対して、弱毒株集団に属する株のゲノムを用いて、それぞれ遺伝子サブトラクション法によりゲノム遺伝子を網羅的に比較する。さらに、選択されたサブトラクトライブラリーから、2つの強毒株集団に共通なクローンを決定し、強毒株特有の新しい病原マーカーを見つけ出そうとするものである。まず、サブトラクションで弱毒株には存在せず、2つの強毒株に共通に存在する異なる29遺伝子クローンを抽出し、その塩基配列からアノテーションを行った。重複や既報の葵膜抗原(2つの強毒株が共通の莢膜抗原を有する)、偽遺伝子、トランスポゾンの遺伝子を除いた16遺伝子と、さらに1つの強毒株にのみ存在する7遺伝子を加えた23遺伝子を選抜した。ここで計画では、選抜した遺伝子に対するdouble-cross over変異株を順次作製する予定であったが、選抜した遺伝子数が多いため、まず、23遺伝子すべてについてsingle-cross overによる遺伝子破壊変異株を作製した。それらの変異株について、マウスを用いた感染試験により病原性を検定した結果、明らかに病原性が低下したと思われる変異株を1株見出した。この変異株での標的遺伝子は、ROK familyの調節遺伝子とアノテーションされたが、既報の遺伝子とは相同性が低く、このfamilyの遺伝子と病原性との関連についての報告もなく、新規の病原遺伝子と期待された。しかし、この遺伝子のdouble-cross over変異株を作製し、マウスによる病原性検定を行ったところ、親株との差は見いだせなかった。これらの成果のうち、病原性に関連すると思われた遺伝子とその産物の性状について解析した結果は、それぞれ学術論文及び学会にて公表した。
|