2010 Fiscal Year Annual Research Report
国際標準プロトコールによる高産乳牛における妊娠喪失発生状況の解析
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20580350
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片桐 成二 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (00292061)
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Keywords | 受胎性 / 胚死滅 / リピートブリーダー / 乳牛 / 子宮内膜 / 診断法 |
Research Abstract |
1. 妊娠喪失頻度の調査:平成21年度に決定したプロトコールを用いて、胚移植を実施した乳用牛における胚死滅の発生状況を調査した。北海道内の4農場において経産牛を対象に妊娠40日頃までの胚死滅の発生状況を調査したところ、全体を通しての早期胚死滅およびその後の胚死滅の頻度はそれぞれ約25および15%であった。経産牛では未経産に比べ胚死滅の頻度が高く、とくに16日以降の胚死滅の割合が増加した。共同研究を実施しているドイツ北部およびスウェーデンにおける胚死滅の発生頻度は同等であったが、米国南西部での胚死滅頻度はそれぞれ30および25%と他の地域に比べ高い傾向がみられた。また、北海道では胚死滅の発生ステージは季節および農場によって異なることが分かった。暑熱期(7-9月)には他の時期に比べ妊娠7~16日までの胚死滅の頻度が高く、厳冬期(12-2月)には16日以降の胚死滅の頻度が高くなる傾向がみられた。他の地域(ドイツおよび米国)でも同様の傾向がみられたが、最も冷涼な地域であるスウェーデンでは季節による胚死滅の発生ステージの違いはみられなかった。 2. 胚死滅発生ステージの精度向上の試み:胚死滅のおこる発生ステージをより細かく推定する方法を確立するために、妊娠10~25日目に胚を除去しその後の妊娠関連因子の変化を調べた。その結果、胚移植レシピエントではホルモン測定、リンパ球での遺伝子発現および超音波検査を組み合わせることにより、胚死滅の時期を妊娠15-16日以前、15-16日~20-25日および25日以降の3期間に区分できることが示唆された。しかし、人工授精を実施した牛ではリンパ球での遺伝子発現が胚移植レシピエント牛とは異なり、これらの検査により胚死滅の時期を区分することはできないことが示された。
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Research Products
(7 results)