2010 Fiscal Year Annual Research Report
飼養環境下の牛群におけるゼアラレノン浸潤動態の解明-特に繁殖性との関連性の検証
Project/Area Number |
20580355
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高木 光博 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (40271746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 誠一 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (50381140)
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Keywords | ウシ / ゼアラレノン / 尿サンブル / 卵胞液サンプル / マイコトシキン吸着剤 |
Research Abstract |
ゼアラレノン(ZEN)はFusarium属真菌により産生されるエストロジェン類似作用を持つマイコトキシンの1種であり、ZENに汚染された飼料を家畜が摂取すると、消化管から吸収されて一部が代謝された後、その代謝物とともに尿中に排出される。これまでに、尿中ZEN濃度モニタリングにより牛群のZEN摂取状況の把握が可能となり、また飼料への吸着剤(MA)添加効果を客観的に評価できること、および給与飼料へのMA添加方法がその投与効果に影響を与える可能性があることなど、を報告している。本年度は先ず、長期に渡り極めて高い尿中ZEN濃度を示す1牛群をモデル牛群として、その原因究明とその対策を講じるとともに、尿中ZEN濃度の推移を観察して、本モニタリングシステムの臨床的な有用性を検証した。まず、モデル牛群、およびモデル牛群と同一配合飼料給与下の対象牛群(低尿中ZEN濃度)から尿、飼料および飲水をサンプルとして採取し、それらのZEN濃度をELISA法により測定した。その結果、モデル牛群の飼料ワラから極めて高いZENが検出されたことから、給与ワラをZEN陰性のワラに変更後2適間目に尿中ZEN濃度の再測定を行ったところ、対象牛群と同レベルにまで有意に低下した。以上より、牛群における尿中ZEN濃度モニタリング法の臨床的有用性が明らかになった。次に、内分泌かく乱物質としてのZENが家畜の繁殖性に与える影響を検証するための足がかりとして、特にその影響が強いことが知られているブタについて、卵胞液中ZENおよびその代謝物濃度をLC/MS/MS法にて測定して卵胞液中の存在の有無を検証した。食肉センター由来ブタ卵巣を採取し、各卵巣に共存する成熟卵胞から卵胞液を吸引採取後プールしてサンプルとした。各卵胞液サンプルの抽出処理過程で、βグルクロニダーゼ(β-Glu)の添加と未添加の2法による抽出を行い、LC/MS/MS法を用いてZENおよび代謝物であるαゼアラレノール(α-ZOL)およびβゼアラレノール(β-ZOL)濃度を測定した。その結果、β-Glu添加群においてはZEN、α-ZOLおよびβ-ZOLガ検出されたものの、β-Glu未添加群においてはZENおよびその代謝物は検出されなかった。以上のことから、ブタ卵胞液中にはZENおよびその代謝物が存在し、それらはほとんどがグルクロン酸胞合されている状態であることが明らかとなった。このことから、マイコトキシンが卵胞内卵子の成熟に影響を与える可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Measurement of urinary zearalenone concentrations for monitoring natural feed contamination in cattle herds-on farm trials.2011
Author(s)
Takagi M, Uno S, Kokushi E, Shiga S, Mukai S, Kuriyagawa T, Takagaki K, Hasunuma H, Matsumoto D, Okamoto K, Shahada F, Chenga T, Deguchi E, Fink-Gremmels J.
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Journal Title
Journal of Animal Science
Volume: 89
Pages: 287-296
Peer Reviewed
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