2008 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ・ネコにおける原因不明の中枢神経疾患からの未知のウイルス検出
Project/Area Number |
20580359
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
齋藤 弥代子 Azabu University, 獣医学部, 講師 (80367242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 秀治 麻布大学, 付置研究所, 講師 (20247307)
水谷 哲也 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70281681)
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Keywords | 診断 / 未知のウイルス / 犬ジステンパーウイルス |
Research Abstract |
イヌやネコには炎症性中枢疾患が多数存在するにもかかわらずその原因究明は立ち遅れており、かなりのウイルス性中枢疾患が見逃されている可能性がある。初年度である本年は、検体の採取と臨床データ収集、そして培養細胞を用いたウイルス分離とPCR法を用いたウイルス核酸の検出を試みた。具体的には、炎症性中枢疾患と診断した18頭、および診断過程でCSF検査を実施した31頭を合わせた49頭のイヌにおいて、採取した脳脊髄液(CSF)からウイルス核酸を抽出し、PCR法およびRT-PCR法により、犬ジステンパーウイルス(CDV)、犬アデノウイルス、犬ヘルペスウイルス、犬パルボウイルス、犬パラインフルエンザウイルス、および日本脳炎ウイルスについて核酸増幅を試みた。炎症性中枢疾患の犬2頭のCSFにてCDVの核酸増幅を確認したため、まず制限酵素による切断パターンを確認したところ、これらは日本で報告のある野外株と異なる株であることを示唆する結果となった。ウイルス培養によるウイルス分離は、上記49頭のイヌから採取したCSFと血液をウイルス培養に適すると考えられる4種類の培養細胞に接種し計6代の盲継代を実施することにより行った。細胞変性効果を指標にウイルスの増殖を判定したが、ウイルス増殖を確認できたものはなかった。野外株に一致しないCDV核酸が検出された2頭のイヌについては、臨床経過を追跡するとともに、ウイルス株間で特異性のある中和抗体の上昇率などから感染の有無を検証する予定である。更にこれらCDVの塩基配列全長の決定を行う。ウイルス培養によるウイルス分離がすべて陰性だった理由として、疾患の原因ウイルスが今回用いた培養細胞に非感受性であった可能性がある。そこで次年度は、イヌにおける中枢神経病原性ウイルスの分離感度を向上させるため、イヌの脳神経細胞由来の株化細胞樹立を試みる予定である。
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