2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本・タイ両国における植林樹木ウッドスピリッツの新活用技術開発に関する研究
Project/Area Number |
20580364
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大谷 慶人 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 教授 (30253339)
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Keywords | ヒノキ精油 / ユーカリ精油 / 抗菌活性 / 抗シロアリ活性 / ディーゼル排気浮遊微小物質 / 自律神経調節機能 / 林業廃棄物 / 木材保存剤 |
Research Abstract |
国産ヒノキ精油とタイ国産ユーカリ精油を用いて、精油組成、成分変動、品質等を調べるとともに、生物活性、人体の自律神経系に及ぼす影響を調べた。ヒノキ精油については、抗菌活性・抗シロアリ活性に優れており、その方面での利用を目指して、スギ柱角材の表面に精油・ポリスチレン複合材を塗布した試料を用いた野外長期耐朽試験を実施中である。現在のところ、3年が経過して、目立ったシロアリ等の食害は見られていない。なお、ヒノキ精油はディーゼル排気中の浮遊微小物質の除去に効果のあることを示すとともに、人体の血圧変動、唾液中のアミラーゼ活性、脳波(低周波数域)を指標とする自律神経系への影響を調べたところ、いずれも、緊張状態を軽減し、積極的にリラックス状態へ変化させる効果のあることがわかった。タイ国産ユーカリ精油については、今回は植物病原菌であるFusarium oxysporumとThanatephorus cucumerisに対する抗菌活性を調べた。両菌糸培地へのユーカリ精油5~10mg/mlの添加でほぼ100%の菌糸成長阻害を示すことが分かった。 ヒノキとユーカリはそれぞれの国で建材用、紙パルプ用として大量に植林されている樹木であり、現在は利用されていない枝葉、間伐材などの林業廃棄物の有効利用が求められている。ヒノキ精油、ユーカリ精油はこれらの林業廃棄物から採取されているものであり、今回の研究により、精油の高度利用への可能性が高まるとともに、樹木自身の価値を高めることが可能である。すなわち、これらの精油は木材保存剤、植物病原菌用殺菌剤、機能性芳香剤などへの利用が可能である。
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