2008 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルギルス・オリゼのテロメア機能を活用した染色体工学の構築
Project/Area Number |
20580374
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
楠本 憲一 National Agricultural Research Organization, 食品微生物利用研究領域, ユニット長 (80353978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 豊 食品総合研究所, 食品バイオテクノロジー研究領域, 領域長 (70353977)
鈴木 聡 食品総合研究所, 微生物利用研究領域, 主任研究員 (90353979)
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Keywords | アスペルギルス / オリゼ / テロメア / 染色体工学 |
Research Abstract |
麹菌(Aspergillus oryzae)の染色体末端配列であるテロメアは、12塩基を単位として約9ないし11回繰り返した、特徴的な繰り返し配列であることを以前明らかにした。その約4倍長を有する合成テロメアをPCR法により取得した。さらに、染色体の末端から約70kb内側に位置する偽遺伝子BをPCRで取得し、これにマーカー遺伝子であるptrA(ピリチアミン耐性遺伝子)及び、上記合成テロメアを付加したベクターを作製した。本ベクターから、偽遺伝子B、ptrA、及び合成テロメアが連結したDNAを切り出した。A.oryzae RIB40株を宿主とし、上記DNAにより、プロトプラスト-PEG法を用いた形質転換を行った。得られた形質転換体16株について、サザンブロットを行った。その際、偽遺伝子Bのセントロメア側に隣接したDNA領域A、偽遺伝子Bのテロメア(染色体末端)側に隣接したDNA領域C、及びDNA領域Cから約30kbテロメア側に位置するDNA領域DをPCRで増幅し、ジゴキシゲニン標識してプローブとした。その結果、形質転換体16株のうち3株については、偽遺伝子Bよりセントロメア側のDNA領域Aは検出されたが、偽遺伝子Bよりテロメア側に位置するDNA2箇所(DNA領域C及びD)がサザンブロット法で検出されなかった。残りの形質転換体では、DNA領域A、C、D全てが検出された。これらの結果、前述の3株では、DNA領域C及びDを含む少なくとも30kbの染色体領域が、導入したDNAに起因した染色体分断により脱落したと結論した。テロメアを用いた染色体分断は、糸状菌では始めての知見である。したがって、染色体分断には、導入するベクターに付加するテロメア配列が通常の約4倍長の長さであることが必要であった。
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