2009 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルギルス・オリゼのテロメア機能を活用した染色体工学の構築
Project/Area Number |
20580374
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
楠本 憲一 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所微生物利用研究領域, ユニット長 (80353978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所微生物利用研究領域, 主任研究員 (90353979)
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Keywords | アスペルギルス / オリゼ / テロメア / 染色体工学 |
Research Abstract |
昨年度に得られた染色体分断条件を踏まえ、合成長鎖テロメア配列にマーカー遺伝子ptrA及び、染色体内部配列の偽遺伝子Bを昨年度と同様に連結した分断ベクターにより、染色体分断が制御可能な条件を解明することとした。昨年度にテロメア配列1コピーを有する直鎖状ベクターにより染色体分断に成功したため、当該配列を逆方向に2コピー有した分断ベクターの作製を試みたが、取得することができなかった。そこで長鎖テロメア配列を1コピー、現有の直鎖状ベクターとは逆向きに連結した直鎖状ベクターを作製し、A.oryzae RIB40株に形質転換により導入した。また、染色体分断に成功したベクターを直鎖状にせず環状DNAのままで、同様に形質転換を行った。環状ベクターでは、偽遺伝子B領域の他、セントロメア近傍に座するthiA(=ptrA)での組換えを期待した。その結果、逆向きテロメア配列を有したベクターによる形質転換体株の一部では、当初予期しなかった染色体脱落が偽遺伝子Bよりも末端側で発生していた。当該形質転換体株のDNA解析の結果から、ベクター上の逆向きテロメア配列に向かい合う方向で、順方向のテロメア配列が発生し、そのテロメア配列が染色体脱落に寄与した可能性が考えられた。一方、環状ベクターによる形質転換体株は、1:2の割合で生育良好な株と、著しい生育阻害を示す株に分かれた。生育良好な株の解析結果、上述のような染色体脱落は発生せず、偽遺伝子B領域も含めた複数の領域にベクターが挿入されたと考えられた。生育阻害株については、培養困難のため染色体DNA調製法を今後工夫し、その構造を解明予定である。これらのことから、染色体分断を制御するためには、昨年度のような直鎖状ベクターを使用する必要があることが考えられた。併せて、逆向きテロメア配列のみのベクターによっても染色体分断が発生することを初めて明らかにした。
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