2010 Fiscal Year Annual Research Report
アスペルギルス・オリゼのテロメア機能を活用した染色体工学の構築
Project/Area Number |
20580374
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
楠本 憲一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所微生物利用研究領域, ユニット長 (80353978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所微生物利用研究領域, 主任研究員 (90353979)
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Keywords | アスペルギルス / オリゼ / テロメア / 染色体工学 |
Research Abstract |
昨年度の研究実施の結果、染色体分断を制御するためには、合成テロメアを有した直鎖状ベクターを使用する必要があることが考えられた。そこで、平成22年度は、昨年度選択した染色体上の偽遺伝子B領域より約2kbセントロメア側のE領域を分断の標的領域として選択した。E領域は当該染色体末端に存在している機能の無い遺伝子クラスターのうち最もセントロメア側に座位すると考えられる偽遺伝子である。そして、直鎖状ベクターとして、合成テロメア、マーカー遺伝子ptrA、E領域の順に連結したDNAをフュージョンPCRにより作製した。このDNAをRIB40にプロトプラスト-PEG法により導入し、得られた形質転換株を純化した。また、RIB40株を宿主として、アスペルギルス・オリゼの非相同的組換えに関与する酵素遺伝子の欠損株であるRIB40ΔligD株を作製し、同株の上述DNAによる形質転換株を取得した。これらの形質転換株のサザンブロット解析の結果、RIB40株が宿主の場合では約5%の頻度で、偽遺伝子Bから染色体末端にかけての遺伝子クラスターが欠損したと考えられる株が得られた。また、RIB40ΔligD株が宿主の場合では、30%以上の頻度で、同クラスター欠損株と考えられる株が得られた。ptrAマーカー用選択培地における生育速度は、同クラスター欠損株が非欠損株の6割程度であった。非欠損株では、ΔligD変異により、導入した直鎖状ベクターのうちptrA領域のみが染色体上のthiA領域と相同組換えにより置換したと考えられる。クラスター欠損株では合成テロメアに近接してptrAマーカー遺伝子が座位するため、テロメア位置効果によるptrA遺伝子の発現抑制が生じている可能性が考えられた。併せて、同ベクターにより機能を有しない遺伝子クラスターを欠損することが可能と考えられた。
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