2009 Fiscal Year Annual Research Report
キナマイシン・ジャドマイシン系抗生物質の多様型合成研究
Project/Area Number |
20590002
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
熊本 卓哉 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (50292678)
|
Keywords | キナマイシン / プレキナマイシン / ロマイビチシン / ジャドマイシン / 全合成 / 二量化反応 |
Research Abstract |
21年度は,20年度に引き続き,キナマイシンとプレキナマイシンの両方の全合成を目指した網羅的検討,ロマイビチシン合成に向けた2量化反応,およびスピロ中間体を経由したジャドマイシンの全合成を検討した. ナフタレン誘導体を経由するキナマイシン類・プレキナマイシンの合成研究20年度までにその合成を達成したプレキナマイシンの基本骨格の構築となるbenzo [b] fluorene誘導体に対し,脱メチル化,ジアゾ化,参加を経てプレキナマイシンの全合成を達成した(学会で発表).さらにキナマイシン類の全合成へと展開すべく,先のbenzo [b] fluoreneのD環部位への選択的な酸化的修飾を試みたが,結果としてB環の酸化も併発したため,前駆体である安息香酸誘導体に対して検討を行った.Pd触媒を用いたカルボキシル基のオルト位選択的水酸化と生じたフェノールの酸化により,D環部位の修飾の足がかりとなるキノンへの変換を達成した.また,以上を含むキナマイシン類の合成研究についての業績について,日本薬学会関東支部より奨励賞を受賞した. ロマイビチシン合成に向けた二量化反応の検討20年度に二量化反応のモデル基質の合成を達成したが,途中酸素官能基の導入などの段階に問題があったため,あらかじめ酸化した基質に対してフェニルボロン酸との鈴木カップリングを検討したところ,安定した収率で目的物を得ることができた. ジャドマイシンAの合成研究20年度に合成したスピロ化合物にイソロイシンを作用させた合成中間体について,各種条件下での閉環反応を試みたが,目的の環化体は得られなかった.そこで,同じスピロ化合物を還元して得られるアルコールに対して,キノン部位にイソロイシンを導入後,先に還元したアルコールをアルデヒドに酸化することで自然発生的に環化が進行し,ジメチルジャドマイシンAの全合成を達成し,これについてTetrahedron Lett.に報告した.
|