2010 Fiscal Year Annual Research Report
急性脳症を誘発するスギヒラタケの脳症起因物質の探索
Project/Area Number |
20590004
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
太田 富久 金沢大学, 薬学系, 教授 (50108560)
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Keywords | スギヒラタケ / 脳症 / ペプチドグリカン / スフィンゴ糖脂質 / 担子菌 |
Research Abstract |
【研究の目的及び実施計画】 1. 脳症との関連性の試験に供するための抽出・単離を継続して行う。 2. あらためてスフィンゴ糖脂質の合成を完成させ、マウスを用いる試験に供する。 3. 腎機能を低下させたマウスを用いて、脳症との関連性を検討する。 【結果】 1. 今年度は免疫毒性学的アプローチとして、単球系株化細胞THP-1が産生する炎症性サイトカインに及ぼす影響を指標として関連成分の分画を行ったところ、スギヒラタケ高分子画分がヒト単球系白血病細胞THP-1においてサイトカイン産生増強活性を示した。シアル酸についてはNeuGcのみでなくN-acetyl neuraminic acid(NeuAc)もPMA刺激によりマクロファージ様に分化させたTHP-1においてサイトカイン産生増強活性を示した。以上のことからスギヒラタケ中毒および関連脳症の発症について、スギヒラタケに含まれるシアル酸成分を毒性の原因物質と結論し、シアル酸を含む高分子成分の血液へのリークに起因する非特異的炎症応答によって敗血症型の脳症が誘発されると推定した。 2. N-Boc-D-serine及び1-undecyneから12工程でアミノ糖であるsphingadienineを合成した。これを2-hydroxypalmitic amideとした後に1-bromoglucosyltetraacetateでグルコシドとした。 保護基の除去にはまだ成功していない。 3. 毒性を示すと考えられている物質の合成が完全には成功しておらず、保護基がついた状態なので、動物実験への供給は行えなかった。
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