2008 Fiscal Year Annual Research Report
有効な脱離基を活用した新規ベータ-ラクタム誘導体の調製
Project/Area Number |
20590005
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
纐纈 守 Gifu University, 生命科学総合研究支援センター, 准教授 (50178208)
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Keywords | 抗生物質 / セレン元素 / 有機合成 / ヘテロ化合物 / ヘテロ環化合物 / ヨウ素環化反応 |
Research Abstract |
近年、興味深い反応性や生物活性からセレン元素を含んだ化合物群の応用開発が盛んになされている。これまで、含セレンβ-ラクタム系の抗生物質の開発は、二つのグループのみが成功している。ひとつは、ラジカルと求核的手法を用いたもの。もうひとつはアゾメチンイリドを用いる方法である。しかしながら、どちらの方法も収率が低いだけでなく、官能基が限定的で構造活性相関を調べるために必要な多種類の誘導体を合成することが困難であった。本研究は、系統的含セレンβ-ラクタム系抗生物質の効率的な開発を広く切り開く事を目的とする。 本年度は、セレノカリウム塩に2-bromoethyl-trimethylsilaneを反応させ、新規セレン導入試薬を開発した。これは、2-(trimethylsilyl) ethaneselenateアニオンを発生させる事ができ、セレンを2-(trimethylsilyl) ethyl(TSE)基で保護した誘導体の調製が可能である。またフッ化アニオンによってTSE基の選択的切断も可能となる有用な試薬であることを報告した(Org. Lett., 2007, 9, 4455-4458)。2次環内の2位、3位や4位へのセレン元素の置換によるβ-ラクタム誘導体の改変を検討した。鍵中間体であるアルキンセレノ尿素やアレンセレノ尿素はプロパルギルアゼチジノンおよびアレニルアゼチジノンとイソセレノシアネートとの反応によって容易に調製し、新規の含セレンβ-ラクタムであるイソデチアセレナペナム、3-セレナ-1-デチアセフェム及びセレナゼピンは、位置選択的ヨード環化反応によって調製した(Ore. Lett., 2008, 10, 3319-3322)。
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Research Products
(2 results)