2009 Fiscal Year Annual Research Report
血糖調節機構における神経伝達物質の関与に着目した生薬由来の血糖上昇抑制成分の研究
Project/Area Number |
20590011
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
堀 由美子 Showa University, 薬学部, 講師 (60317584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居塚 和生 昭和大学, 薬学部, 教授 (60135035)
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Keywords | 生姜 / 乾姜 / スルホン化誘導体 / 血糖値 / 神経伝達物質 |
Research Abstract |
我々が生薬ショウキョウ(生姜)から見出した新規スルホン化誘導体:gingesulfonic acid類やshogasulfonic acid類は,基原であるショウガ根茎の辛味成分:gingerol類やshogaol類,あるいはdiarylheptanoid類が製品加工上の硫黄燻蒸処理によってスルホン化された化合物群である。本課題ではこれらの有用性を評価するために,マウスに対する経口投与試験を実施した。スルホン化誘導体投与によるマウスの死亡例はなく,毒性発現を示唆するような異常は認められなかった。一方で,スルホン化誘導体は-グルコシダーゼに対して阻害作用を有し,食後の過血糖抑制効果を示すことが明らかになった。21年度はスルホン化誘導体ならびにこれを含むショウキョウエキスについて,マウスに対する長期経口投与試験を行い,抗糖尿病作用について検討した。その結果,以下のような成績を得た。 1. 正常マウスに対する6-gingesulfonic acid含有ショウキョウエキス投与群では,6ヶ月と12ヶ月時に血中アディポネクチン量が他群と比較して増加していた。これと関連して脳内セロトニン含量の増大と自発運動量の上昇が観察された。 2. 2型糖尿病モデルKK-Ayマウスへの投与試験においては,1ヶ月間の投与期間中,6-gingesulfonic acid投与群では,対照群と比較して,血糖値の上昇抑制作用が認められた。特にその効果が顕著であったマウスにおいては,血中アディポネクチン量が高く認められた。 以上から,スルホン化誘導体ならびにこれを含むショウキョウエキスの長期経口投与は,インスリン感受性ホルモンであるアディポネクチン分泌を促進して血糖値の上昇を抑制することが示唆された。
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